ニュース 電子 作成日:2025年3月5日_記事番号:T00120384
ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が米国で1000億米ドルを追加投資し、先進製造プロセスの工場などを建設すると4日発表したことを受け、台湾の半導体サプライチェーン(供給網)も移転してしまい、中国の軍事侵攻の抑止力となる「シリコンの盾(シリコンシールド、半導体の盾)」の効果が弱まると懸念する声が上がっている。経済部は4日、TSMCの海外投資は長期的な競争力を考慮し、海外の顧客の要望に応えるもので、世界の半導体サプライチェーンの安定性が増す上、台湾の世界への影響力が増すと説明した。5日付工商時報などが報じた。
郭・経済部長は4日、台積電(TSMCの中国語名の略称)が「美積電」(美は米国を意味する)になることなどなく、余計な心配だと語った(4日=中央社)
TSMCは4日、米国で先進製造工場3基、先進パッケージング(封止)工場2基、研究開発(R&D)センター1基を建設する計画を発表した。これを受け、▽TSMCのサプライチェーンも米国に移管する、▽先進半導体の米国製造で、台湾の戦略的価値が下がる──などと懸念の声が上がっている。
郭智輝・経済部長は4日、立法院の答弁で、産業創新条例(産創条例)に基づき、海外投資案件は15億台湾元(約69億円)以上の場合、経済部投資審議司の審査を事前に受ける必要があると語った。ただ、経済部投資審議司の審査は、半導体の中国投資は「Nマイナス1」(台湾の最先端プロセスより1世代遅れ)の制限があるが、米国など海外投資には制限はないと説明した。
その上で郭・経済部長は、TSMCの投資規模は台湾のサプライチェーンが米国に全面移転するほどではない上、台湾のテック文化や労働環境は米国に移植できるものではなく、先進半導体の製造にはハイエンド人材が必要なため、TSMCの先進プロセスは台湾に残ると述べた。
経済部は、どんなにグローバル化を進めても「台湾に根ざし、台湾を発展させる」立場で、政府と産業界は一致していると強調した。
■日台の工場計画に影響なし
TSMCは4日、米国投資拡大が、台湾や日本、ドイツなどでの工場建設計画に影響することはないと説明した。
台湾では、南部科学園区(南科、南部サイエンスパーク)台南園区で3ナノメートル製造プロセスの生産能力を拡大しているところだ。
2ナノプロセスは、南科の楠梓園区(高雄市楠梓区)の第1工場(Fab22 P1)で近く第2期の設備搬入が行われ、下半期(7~12月)に量産を開始する予定だ。新竹科学園区(竹科、新竹サイエンスパーク)の宝山工場(Fab20)は昨年リスク試験(試験生産)を開始しており、今月から第2工場(P2≈)で設備を搬入するとみられる。
証券会社は、米国工場は設備も人件費も高く、ウエハー1枚当たりの生産コストは台湾の工場より28%高いが、トランプ政権が補助金を支給する確率は低く、TSMCは15%以上は値上げすると予想した。
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