ニュース 電子 作成日:2025年3月7日_記事番号:T00120443
ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の魏哲家(シーシー・ウェイ)董事長は6日、頼清徳・総統と総統府で共同記者会見を開いた。米国で先進製造工場3基などを建設する1000億米ドルの追加投資を発表したことについて魏・董事長は、顧客の需要に応えるためで、それでも生産能力は足りず、今後数年で生産ラインを10本以上設置する予定だと語った。7日付工商時報などが報じた。
TSMCの魏・董事長(右)は6日、「続けざまにプレジデント(大統領、総統)2人と会い、質問に答えるとは、緊張する」と語った(総統府リリース)
トランプ大統領は米国時間3日、魏・董事長とともにホワイトハウスで、TSMCの米国での1000億米ドルの追加投資計画を発表した。TSMCは米国で先進工場3基、先進パッケージング(封止)工場2基、研究開発(R&D)センター1基を建設する計画だ。これを受け、米国にとって台湾の戦略的価値が下がり、中国への抑止力が弱まるとの懸念が浮上していた。
■26年もフル稼働
魏・董事長は6日、TSMCが米国や日本、ドイツに工場を建設するのはいずれも顧客の需要に応えたものだと説明した。
特に米国の顧客は需要が非常に大きく、投資を決定する前に分析を重ね、全ての顧客と協議し、現在は顧客が必要とする需要を満たせていないと判断したと述べた。今もフル稼働しており、26年も満杯で、27年にできる生産ラインも予約で埋まっていると語った。
頼・総統(左)は、TSMCが4年前のアリゾナ工場計画発表に続き、先日トランプ大統領とともに追加投資を発表したのは、次世代のAI(人工知能)など新技術に貢献し、TSMCや台湾、米台関係にとって歴史的な瞬間だと語った(総統府リリース)
魏・董事長は、米国に追加投資しても台湾の工場建設計画に影響はないと述べた。台湾では今年、生産ラインを11本設置するほか、今後数年でさらに10本以上設置する必要があると語った。頼・総統に対し、用地取得に協力を依頼したと明かした。
■「補助金目当てでない」
トランプ米大統領が4日の施政方針演説で、CHIPS・科学法(通称・CHIPS法、チップス法)を廃止する考えを示したことで、TSMCなどに補助金などが支給されない可能性が浮上する中、魏・董事長は6日、米国投資は顧客の需要が理由で、補助金がもらえるからではないと述べた。公平であれば、たとえ補助金が出なくても構わないと語った。
米国での研究開発センター建設計画については、技術の流出が懸念されている。魏・董事長は、米国の研究開発センターは1000人規模で、主に米国の生産ラインの最適化を担い、2ナノメートルや1.6ナノ、1.4ナノなど最先端の製造プロセスの研究開発は今後も台湾で行うと説明した。新竹科学園区(竹科、新竹サイエンスパーク)のグローバル研究開発センターは1万人規模だ。
■米国の圧力否定
TSMCの米国投資は、米国からの圧力があるとの見方について頼・総統は、政府は米国からの圧力を受けていないと述べた。また、魏・董事長と密接に連絡を取り合っており、TSMCの米国投資計画については十分に把握していると語った。
頼・総統は、TSMCのグローバル展開は、TSMCの競争力を向上するだけでなく、サプライチェーン(供給網)の海外進出の機会にもなっており、台湾経済に貢献していると語った。政府は必ず、TSMCの用地取得、電力、水道、労働力などリソース確保に協力すると説明した。
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