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営業停止中の尊龍客運、董事長がバス運転手に転身


ニュース 社会 作成日:2008年12月8日_記事番号:T00012090

営業停止中の尊龍客運、董事長がバス運転手に転身

 
 「みんな、気を付けて降りるんだよ!」観光バスのドライバーが、幼稚園児たちに優しく注意を呼び掛けている。実はこのドライバー、財務危機によって交通部公路総局より今年7月から1年間の営業停止を命じられた尊龍汽車客運(ドラゴンバス)の徐明正董事長、その人だ。
 
 2000年に創業した尊龍は、通路を挟んで豪華座席を一つだけ配備した「総統バス」を業界に導入した元祖で、台北~台中を他社より1時間も短い2時間10分の所要時間で運行。運賃は他社よりも割高だったが、消費者の人気を博して長蛇の列ができる大成功を収めた。
 
 わずか2年の間に、保有車両を24台から375台に拡大し、従業員数が1,000人にも達した尊龍は、01年に銀行から融資を受け、1台800万台湾元(約2,200円)の新車を62台購入。ところが、03年に新型肺炎SARSまん延による経済停滞で旧車両の売却計画が暗礁に乗り上げたことから 、債務が返済不能に。追い打ちを掛けるように同年7月、乗客6人が死亡するバス火災事故を起こし、年末には給与未払いによるドライバーのストライキが起こった。
 
 徐董事長はこのバス火災事故により、1年10カ月の実刑判決を受け(目下控訴中)、専用車とお抱えドライバーを持つ身分から、一転して連日暴力団の借金の取り立てに追われる立場に。
 
 そんな中、彼は自分にはまだ「大型バスの運転免許」という一つの財産があることを思い出し、旧友の経営するバス会社、利達通運公司のドライバーとして新たな人生の一歩を踏み出した。
 
 人生の浮き沈みを経験し、物事に対する見方が変わったという徐氏。「命さえあればきっとチャンスはある」と再起を誓っている。