ニュース 政治 作成日:2025年5月9日_記事番号:T00121577
頼清徳・総統は8日、第二次世界大戦でナチス・ドイツが降伏し、欧州戦線が終結してから80年を迎え台北市で開催した行事で演説し、「武力による侵略は必ず失敗する」と述べ、自由と民主主義を守る国々との団結を呼びかけた。台湾で欧州戦線終結の行事が開かれたのは初めて。頼・総統の演説は、軍事的圧力を強める中国を牽制(けんせい)する意図があると受け止められている。中央社電などが伝えた。
欧州戦線勝利80周年記念茶会には、頼・総統や蕭・副総統、EUや英国などの代表者が出席した(総統府リリースより)
外交部は8日午前、「欧州戦線勝利80周年記念茶会」を開催し、頼・総統や蕭美琴・副総統ら政府関係者のほか、欧州連合(EU)や英国など17カ国・地域の駐台代表らが出席した。
頼・総統は、欧州戦線の勝利を記念する意義は、人類が団結して侵略に立ち向かい、真の平和を追い求めた決意と行動にあると指摘した。かつての枢軸国(日独伊)は現在、完全な民主国家へと変貌し、真の平和と繁栄を享受し、世界から尊敬を集めていると説明した。「民主選挙、自由市場、人権の尊重」こそが、人類が目指すべき真の文明の姿だと強調した。
その上で頼・総統は、台湾と欧州は、新たな権威主義勢力の脅威に直面していると指摘した。具体的には、▽海底ケーブルの破壊、▽偽情報・フェイクニュースなどによる選挙への干渉、▽国際的なルールと自由で公正な市場への圧力──などの脅威を挙げた。世界の自由を愛する人々と国家に対し、リスクが危機に、危機が拡張行動に発展する前に団結しようと呼びかけた。
ロシアのウクライナ進攻が長引く中、ロシアは9日、戦勝記念日の式典を開催する。中国の習近平・国家主席ら20カ国以上の首脳が出席する見通しだ。
■民主・権威主義の対立
頼・総統の演説について、ある外交関係者は、中国は9月に開催する抗日・反ファシズム勝利80周年で、台湾に対する統一戦線を中心に据える考えで、9月まで認知戦を続けるとみられ、台湾は対応する必要があるとの見方を示した。海外からの脅威や情報操作は台湾だけでなく、欧州やカナダでも発生しており、協力して早期に対応することが最善の抑止策だというのが、頼・総統の演説だと指摘した。
一方で、中国寄りといわれる中国時報は、頼・総統の演説は「中国離れ、欧米接近」の宣言にほかならず、台湾を欧米の対中包囲網の先頭に立たせ、両岸(中台)関係の新冷戦を明確にしたと主張する評論文を掲載した。中国時報は、頼・総統はアジア戦線の勝利には触れず、中華民国が戦勝国であることは曖昧(あいまい)にしていると批判した。
国民党の朱・主席は8日にメディアの取材に応じ、民主主義でもファシズムや独裁が生まれることがあるというのが、歴史の教訓だと語った(8日=中央社)
最大野党・国民党の朱立倫・主席は7日、第二次世界大戦下でドイツのヒトラーらが民主主義の名を借りて司法的な手段で野党を消滅させ、独裁者になったと指摘し、「頼・総統の野党に対する対応はヒトラーがしたのと同じだ」と発言した。これに対し、ドイツやイスラエルの駐台機関から批判の声が上がった。
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