ニュース 公益 作成日:2025年5月14日_記事番号:T00121659
立法院(国会に相当)は13日、原子力発電所の運転期間を最長20年延長できるようにする「核子反応器設施管制法(核管法)」第6条の改正案を野党の賛成多数で可決した。台湾で唯一稼働している第3原発(屏東県恒春鎮)2号機の運転は予定通り今月17日に終了する。関連法規の改正や安全検査要件の改訂を経て、事業者の台湾電力(台電、TPC)が再稼働を申請し、主管機関の審査をパスすれば最長20年の運転が可能になる。中央社電などが伝えた。
国民党の立法委員は、原発の運転延長を可能にする法案を可決した後、プラカードを掲げて運転延長を叫んだ(13日=中央社)
台湾では11年の東日本大震災を機に脱原発の機運が高まり、16年発足の蔡英文・前政権(民進党)が原発ゼロの政策に転換し、18年以降、40年の使用期限を迎えた原発が相次いで運転を停止した。しかし、近年、半導体工場や人工知能(AI)データセンターなどで消費電力が増えており、産業界は電力供給への懸念から原発の運転延長を求める声が根強い。
産業界の要請もあって、原発の運転延長を可能にする改正案は最大野党・国民党が提出し、立法院では国民党と台湾民衆党の賛成60票が民進党の反対51票を上回って可決、成立した。
反原発グループは運転延長を可能にする法案の採決に先立ち、12日に立法院近くで集会を開き、原発の運転延長をやめるよう要求した(12日=中央社)
経済部は、現行の運転許可の有効期間は40年のため、第3原発2号機は期限の17日で運転を停止する必要があると説明した。原発は長年にわたって運転されており、再稼働を申請する場合、TPCは国際基準に基づいて重要設備と構造物を点検し、構造部材の寿命管理、設備の更新、福島第一原発事故を教訓とした安全強化や耐震性の強化評価を行う必要があると強調した。
郭智輝・経済部長は今月1日、改正法案の可決に加え、安全検査による延長期間の判定、燃料棒の製造、専門家による鑑定などの要件を満たす必要があり、再稼働には最低でも1年4カ月を要すると説明した。
経済部は、単なる法律改正では原子力安全は保証できず、それは原子力使用における責任ある態度とは言えないと指摘した。原発の再稼働の可否には、原発の安全性だけではなく、核廃棄物処理と社会的合意の形成が重要な前提であり、TPCに対して関連法規に基づいて処理するよう促すと強調した。
■ガス火力で電力需要カバー
TPCは、第3原発2号機の運転停止に伴い、2025年中に大潭7号機(桃園市)など4基の大型ガス火力発電設備を稼働させる予定だ。これらの発電設備容量は計480万キロワットに達し、第3原発2号機(95万キロワット)を大きく上回ると説明した。卓栄泰・行政院長(首相に相当)は、再生可能エネルギーへの転換を推進しており、32年まで先端産業の発展に必要な電力供給を確保できると強調している。
一方で、郭・経済部長は先月、米国からのエネルギー調達のほか、将来的に小型モジュール炉(SMR)の調達もあり得ると語った。
原発停止に伴い、当面はガス火力発電で電力需要を満たすことになる。原発の再稼働に向けて法的根拠は得られたものの、安全検査の厳格化、核廃棄物処理、世論の動向もあり、いつごろ再稼働が可能になるのか予測できない。
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