ニュース 自動車・二輪車 作成日:2025年5月22日_記事番号:T00121829
自動車大手、裕隆集団は21日の業績説明会で、台湾市場全体の2025年の新車販売予測を、24年実績の45万台を下回る水準に下方修正した。3月末時点では46万2000台を予測していた。米国の関税政策と、財政部の自動車の貨物税(物品税)引き下げ検討を受けて、新車購買意欲が急速に冷え込んでいるためだ。トヨタ自動車の台湾総代理店で、最大手の和泰汽車も、5月の新車販売が3万台余りにとどまる可能性があると予測した。22日付経済日報などが報じた。
裕隆集団は、今年1~4月の新車販売台数は約13万台で、前年同期比11.4%減少しており、特に4月の落ち込みが顕著だったと指摘した。トランプ米大統領の関税政策で世界の貿易が再び緊張する中、貨物税や輸入関税の引き下げがいまだに不透明なことが、消費者の様子見姿勢を強め、購買意欲を弱めていると説明した。
裕隆集団傘下の主要3社、▽裕隆汽車製造(ユーロン・モーター)、▽中華汽車工業(チャイナ・モーター、CMC)、▽裕隆日産汽車──はいずれも、関税や貨物税の引き下げに関する議論が新車購買意欲の急激な冷え込みを招いていると指摘した。関連政策の結論が出るまでにどれほど時間がかかるかが見通せないため、予測は困難だが、現時点で確実に言えるのは、25年の新車登録台数が前年(45万7000台)を下回ることだと説明した。貨物税の引き下げは台湾生産車に大きく影響し、関税の引き下げは主に輸入車に影響するが、高級車に対しては影響が比較的小さいと指摘した。多くの販売店では、契約済みの顧客が納車を見送るケースが出ており、監理機関の納車統計によると、納車台数は昨年同期比で約8割にとどまっているという。
裕隆日産は25年の売上高と販売台数減少について、貨物税の議論の影響だけでなく、法規の影響で24年に一部車種の生産を終了したことも要因だと指摘した。今年は、特別仕様車とシリーズハイブリッド(SHEV)「e-POWER(イーパワー)」搭載車を新たに投入して販売促進を図る。
中華汽車は、台湾生産比率の問題で24年はMGブランド車の販売が低迷したが、25年は回復する見通しだ。昨年11月に発売した自社開発の小型商用車(LCV)「J Space(Jスペース)」の販売が好調だ。
中華汽車は5月末から桃園市、台中市、台南市で、台湾の人気キャラクター「饅頭家族」をデザインした小型商用車「Jスペース」を巡回展示する(中華汽車リリースより)
裕隆集団と鴻海精密工業(ホンハイ・プレシジョン・インダストリー)の合弁で、電気自動車(EV)のCDMS(設計・製造受託サービス)を手掛ける鴻華先進科技(フォックストロン・ビークル・テクノロジーズ)が開発したEVを三菱自動車に供給することについて台湾で製造を担当する裕隆汽車は、フォックストロンと三菱自動車が製品や詳細について協議中だと説明した。三菱自動車の発表によると、2026年後半にオセアニア地域(オーストラリア、ニュージーランド)で販売を開始する予定だ。
■日産の再建計画、「影響ない」
日産自動車が13日に経営再建計画「Re:Nissan」を発表し、7工場を閉鎖すると発表したことについて裕隆汽車は、台湾での運営やサプライヤーとの協業はこれまで通りで、日産の人員削減や工場閉鎖の影響は受けていないと強調した。
裕隆日産の中国事業の赤字について裕隆日産は、中国の東風日産乗用車は新車「N7」の販売が予想を上回り、第2四半期(4~6月)は黒字に転じる可能性があると説明した。
裕隆汽車の第1四半期(1~3月)の売上高は前年同期比15%減の175億8800万台湾元(約840億円)、営業利益は23%減の15億元、税引き前純利益は30%減の14億6500万元だった。
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