ニュース 電子 作成日:2025年6月4日_記事番号:T00122055
ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の魏哲家(シーシー・ウェイ)董事長は3日の株主総会で、米国関税政策や為替の変動が、TSMCのコスト増につながっていると認めた。株主から値上げするのかと質問され、魏・董事長は「我々は価値あるものを提供している。これで理解できるでしょう」と回答した。3ナノメートル以降の製造プロセスの値上げを示唆したと受け止められている。4日付経済日報などが報じた。
TSMCの魏・董事長は3日、就任後初めて株主総会を主宰した(3日=中央社)
魏・董事長は、米国の関税政策について、不確実性やリスクがあることを理解しており、今後数カ月以内に状況が明らかになるが、現時点では顧客の行動に変化はないと説明した。関税は輸入業者が負担するもので、輸出中心のTSMCへの影響は限定的としつつも、物価の上昇が最終製品の需要を抑制し、半導体産業に影響を及ぼす可能性があると語った。
為替相場については、台湾元が最近約8%上昇しており、粗利益率に3ポイント以上影響すると試算を示した。(年間売上高)3兆台湾元(約14兆4000億円)で計算すると、影響度が分かると語った。
魏・董事長は、人工知能(AI)も人型ロボット(ヒューマノイド)も既に業績に反映され始めていると説明した。ChatGPT(チャットGPT)などの生成AIはすべてLLM(大規模言語モデル)で、TSMCの半導体が必要だと説明した。2025年は安定成長が見込まれ、米ドルベースの売上高成長率は従来の24~26%の予測を維持し、売上高と利益ともに過去最高を更新する見通しを示した。AI需要が力強く、TSMCは5年後、10年後の見通しも非常に良いと語った。
■熊本第2工場、着工延期
魏・董事長は、熊本第2工場の着工遅延の原因は、第1工場の量産開始後、周辺道路の交通渋滞がひどいためと説明した。車で10~15分の距離で1時間近くかかるほどで、地域住民が不満を感じていると語った。地元の政府に支援を要請しており、交通状況が改善されるまでは、第2工場を着工できないと語った。熊本第2工場は当初、25年第1四半期(1~3月)の着工予定だった。
アラブ首長国連邦(UAE)に先進半導体の製造工場を設置するとのうわさについては、否定した。魏・董事長は、海外工場の設置先の優先順位は、▽顧客がいる、▽政府が友好的、▽補助金があること──だと説明。総合的に判断して、台湾と中国、米国、日本、欧州の一部以外は、原則として不可能だと語った。
魏・董事長は3日の株主総会で、「TSMC株を買えば間違いない」と語り、株主の支持に謝意を示した(3日=中央社)
海外での技術流出リスクについて魏・董事長は、半導体技術は極めて精密で分業化されており、1人でも10人でも100人でも盗めるものではなく、技術は流出しない自信があると述べた。
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