友達光電(AUO)の李焜耀董事長は10日、中部科学園区(中科)第4期基地(彰化県二林鎮)で来年7月末に着工を予定していた第10、11世代工場各2基の建設計画を、最低半年間延期する考えを明らかにした。需要低迷で大幅な減産を強いられる中、新規投資のアクセルを緩める判断を迫られたとみられる。パネル業界の最先端の投資競争にもブレーキがかかった形だ。11日付経済日報が報じた。
「下り坂では減速しなければならない」。李董事長は不景気への対応措置だと強調した
(10日=中央社
李董事長は、世界的な景気低迷でパネル需要が大きく落ち込んでいるため、60インチ以上の大型テレビ向けパネルを生産する10、11世代工場の建設を、市況に応じて一時見合わせると語った。なおAUO内部では、延期期間を1年と想定しているもようだ。
AUOは今年8月、中科二林基地に4,000億台湾元(約1兆1,000億円)を投じて、世界最先端の第10、11世代工場各2基を設立する計画を表明。当時は10世代工場で早ければ2010年設備搬入、11年に量産開始を目指すとしていた。また9月には、シャープやサムスン電子の10世代工場建設計画に対抗し、10世代を飛ばして直接11世代を建設する考えも示していた。
楊文科中科管理局長によると、中科二林基地の開発は予定通り行われ、来年3月に行政院環境保護署の環境影響評価(環境アセスメント)の審査を受け、6月には開発許可を取得する見通しだ。7月29日に公共施設を着工する予定で、AUOなど進出企業はそれ以降に工場建設に着手できると強調した。
手持ち現金を積み増し
李董事長はまた、来年の資本支出について、「今年と同じというわけにはいかない」と大幅に削減する考えを示し、手持ち現金を積み増すと語った。AUOはここ数年、資本支出が毎年800億~1,000億元に上っていたが、来年はゼロに近い水準まで下がると経済日報では予測している。
AUOは今月初旬、同社2基目となる第7.5世代工場(L7B)についても量産開始時期を来年第3四半期以降に延期し、市況を見て稼働させる方針を示している。