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アフリカ豚熱疑い例を初確認、豚肉の供給不足に懸念【図表】(トップニュース)


ニュース 農林水産 作成日:2025年10月23日_記事番号:T00124856

アフリカ豚熱疑い例を初確認、豚肉の供給不足に懸念【図表】(トップニュース)

 農業部は22日、台中市梧棲区の養豚場で死んだ豚の検体から家畜伝染病、アフリカ豚熱(ASF)の陽性反応が出たと発表した。台湾でASFの疑い例が確認されたのは初めて。農業部はこの養豚場内の豚195頭を殺処分するとともに、全国で豚の移動や食肉解体を5日間禁止する措置を取った。卓栄泰・行政院長(首相)は、農業部などに対して水際検査や密輸取り締まりの強化などを指示した。豚肉の供給不足が懸念され、流通業者や外食業界は警戒を強めている。23日付聯合報などが報じた。

/date/2025/10/23/00agri_2.jpg陳駿季・農業部長(右)は22日の記者会見で、今後、ウイルス分離による最終確認が必要だと述べた(22日=中央社)

 農業部によると、この養豚場は豚300頭を飼育しており、​​残飯をえさに使用していたと説明した。今月10日から豚が死に始め、異常な死亡数を監視システムが検知した。台中市動物保護防疫処が14日に初めて調査したが、経営者が治療中を理由に検体採取を拒否した。20日までに117頭が死に、同日の再調査でようやく採取と検査を実施し、21日にASFの陽性が確認された。

 農業部動植物防疫検疫署(防検署)の担当者が直ちに現場に出向き、養豚場を中心に半径3キロメートル圏内を管制区域に指定し、豚の移動制限を実施した。場内の豚195頭を予防的に殺処分し、養豚業者に対して清掃と消毒の徹底を指導した。

 農業部は、▽22日正午から5日間、全国で豚の移動・食肉解体を禁止(状況により延長)、▽全国で残飯による養豚を全面禁止、▽全国の食肉市場で、施設と運搬車両の清掃・消毒を徹底、▽禁止措置前に市場や食肉処理場へ運ばれた豚については「生体豚は搬入のみ可・搬出不可」として検査を強化、▽全国で養豚場の防疫調査を実施し、豚の健康状態を把握、▽生産・流通を調整し、豚肉供給を安定化させる──などの措置を取った。

 卓・行政院長は、▽疫学調査の徹底、▽冷凍肉の放出による市場調整と学校給食への優先供給、▽台中での現地対策本部の設置、▽国民への迅速で正確な情報提供――の4項目を指示した。

 農業部は、アフリカ豚熱は接触感染力が非常に強いウイルスだが、人畜共通感染症ではなく、人には感染しないと指摘し、市民に対して冷静な対応を呼びかけた。

 台湾台中地方検察署(地検)は22日、台中市食品薬物安全処と緊急会議を開き、ASFウイルスの発生源を追跡するため、捜査を開始した。動物伝染病防治条例への違反の有無を調べるため、養豚業者の事情聴取も視野に入れている。

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 国立台湾大学獣医専業学院の李淑慧・非常勤助理教授は、これまでの世界各国でのABF感染の1例目は​​​​残飯養豚による感染がほとんどだったと説明した。

■中国で18年から流行

 台湾では1997年に口蹄疫(こうていえき)が大流行し、計385万頭を殺処分した。豚の価格が暴落して、経済損失は1700億台湾元(現在のレートで約8400億円)を超えた。その後、長らく「清浄地域」認定を失っていたが、2020年に国際獣疫事務局(WOAH)から清浄地域としての認定を受けた。

 また、24年にASFの清浄地域認定、今年5月は豚熱(CSF)の清浄地域認定を受け、アジアで唯一、豚の三大感染症がない地域となっていた。

 中国では2018年8月にASFが発生し、短期間で周辺国に拡散した。

■豚肉メニュー停止の店も

 豚の移動・食肉解体が禁止されたことを受けて、外食業者などからは「もし今回が単発で終わらなければ、豚肉不足が起きる」、「ASF発生で消費者の信頼が低下し、短期的に豚肉価格が大きく下落する恐れがある」との懸念が出ている。

 火鍋(鍋料理)店などの飲食チェーンを展開する築間餐飲事業と、薬膳スープなどのレストランチェーン、双月食品社は23日、台湾産の豚肉を使用したメニューを当面提供しないと表明した。

 彰化県の名物「肉圓(バーワンと呼ばれる肉入りモチ)」で人気の店「阿璋肉圓」の経営者は、食肉解体後すぐ販売される生肉しか使っていないので、「今ある肉が売り切れたら、もう仕入れられない。休業するしかない」と話した。

 宜蘭県政府は23日、学校の給食で11月末まで豚肉の生肉を使わず、冷凍豚肉を使用すると発表した。

 会員制量販店大手、好市多(コストコ)は23日、豚肉の購入は会員カード1枚当たり1品に限定すると発表した。

 台湾最大の養豚企業の台湾糖業(台湾シュガー、台糖)は、5日間の食肉解体禁止で出荷頭数が約2000頭減少する見込みだと明らかにした。

/date/2025/10/23/00pig_2.jpgASFの陽性反応が出た台中市の養豚場では、殺処分された豚の搬出作業が行われた(22日=中央社)

 雲林県口湖養豚生産合作社の洪健鈞・経理によると、北部では豚肉価格が横ばいだが、中部でASFの疑い例があった影響で、中南部では価格が大幅下落している。「価格がいつ安定するかは、消費者の信頼回復にかかっている」と述べた。

 業者の間では、消費者が豚肉に対して不安感を抱き、ブランド肉への需要が一時的に高まる可能性や、鶏肉などで代替され、豚肉・鶏肉の両方の価格上昇が起きるとの見方が出ている。

 

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