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東京エレク子会社を起訴、TSMC機密事件で罰金1.2億元求刑【図表】(トップニュース)


ニュース 電子 作成日:2025年12月3日_記事番号:T00125676

東京エレク子会社を起訴、TSMC機密事件で罰金1.2億元求刑【図表】(トップニュース)

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の2ナノメートル製造プロセスの機密情報を不正取得したとして、国家安全法(国安法)違反と営業秘密法違反の罪で、東京エレクトロン(TEL)台湾子会社の東京威力科創(東京エレクトロン台湾)の元従業員ら3人が起訴された事件で、台湾高等検察署(高検)智慧財産(知的財産)検察分署は2日、従業員の監督責任を十分に果たさなかったとして、東京エレクトロン台湾を国安法違反などの罪で追加起訴し、計1億2000万元(約6億円)の罰金を求刑した。国安法違反罪で法人が起訴されたのは初めて。3日付中国時報などが報じた。

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 検察側は8月27日、TSMCの元従業員で、退職後、TSMCのサプライヤーの東京エレクトロン台湾のマーケティング部門に就職した陳力銘・被告と、TSMCの元同僚だった呉秉駿・被告、戈一平・被告の3人を起訴し、それぞれ拘禁14年、9年、7年を求刑した。智慧財產及商業法院(知的財産および商業裁判所)で案件が審理され、3人の勾留が続いている。

 検察側はさらに職権で、東京エレクトロン台湾について、法人の刑事責任に該当するかを調べ、陳・被告と同社の社員から聴取した上で、事件の証拠と同社が提出した弁明資料を照合した。その結果、同社は法律上、陳・被告を監督する責任を負っていたが、内部規範には一般的な規定があるのみで、具体的な不正防止・管理措置を履行した証拠が欠けており、不正行為を防止するための努力を尽くしていないとして、営業秘密法第13条の4と国安法第8条7項など計4つの条項に違反したと判断した。

 調べによると、陳・被告はかつてTSMCの新竹科学園区(竹科)Fab12工場の歩留まり部門のエンジニアだったが、子どもの病気で経済的プレッシャーがあり、東京エレクトロン台湾に転職した。同社はTSMCの2ナノの試作には成功したものの、後続のテスト量産段階で繰り返し失敗していた。このため、陳・被告は旧知の呉、戈の両被告に協力を依頼した。2人はパソコンのリモート接続でTSMCのデータベースに入り、2ナノ製造プロセスの機密写真12枚を撮影して陳・被告に送信するなどした。

 陳・被告はそれを東京エレクトロン台湾の業務日報に入力し、同社が量産に成功してTSMCの受注を獲得できるよう図っていたとされる。

■日本本社「厳粛に受け止め」

 東京エレクトロンは3日、台湾子会社の起訴について、誠に遺憾で、極めて厳粛に受け止めており、関係者に心配をかけたことをおわびするとのコメントを発表した。

 東京エレクトロンは、元従業員への監督義務違反に問われたものの、起訴状では元従業員への不適切な情報取得を促す指示などの組織的な関与や、関連する機密情報の外部への流出は指摘されていないと説明した。

 東京エレクトロンは今年8月、陳・被告を懲戒解雇したと発表した。当時も、これまでの内部調査で、元従業員への不適切な情報取得を促す指示などの組織的な関与や、関連する機密情報の外部への流出は確認されていないと説明していた。

 報道によると、9月に同社の河合利樹代表取締役社長CEO(最高経営責任者)が訪台して、TSMCに対して謝罪したようだ。東京エレクトロン台湾の伊東晃・董事長と張天豪・総裁が辞任すると伝えたようだと報じられていた。

 

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