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作成日:2009年1月9日_記事番号:T00012701
消えた「中華民国」の文字、中国で馬総統就任記念酒発売へ

昨年5月20日の馬英九総統、蕭万長副総統の就任を記念し、金門県営の金門酒廠実業が翌月発売した記念コーリャン酒が、今月下旬の春節(旧正月)前後から中国でも発売されることになった。
ところが、中国向けの新たなパッケージからは、台湾版にあった「中華民国」「総統」「副総統」の文字が削除されており、これをめぐって議論が起きている。
今回、中国の質量監督検験検疫局の認可を得て中国16の省で発売されることになった記念酒は、12年物のコーリャン酒(750cc入り)。台湾での名称は「中華民国第12任総統副総統就職紀念酒」だったが、中国向けに輸出されるものは「馬英九蕭万長就職紀念酒」と改称されている。
金門酒廠は、「中華民国」などの文字を削除した理由について「中国との相互尊重」を挙げている。ボトルには、総統府をバックにした馬英九、蕭万長両氏の肖像画が印刷されており、両氏が中華民国の総統と副総統だということは誰でも知っており、一目瞭然だと強調している。
中国向け記念酒はまず、1,000本を限定販売した後、状況次第で最大5,000本まで販売を拡大する予定。台湾では1本3,600台湾元(約9,900円)だったが、中国では5,000人民元(約6万6,600円)に販売価格を設定する。
中国のコーリャン酒市場の規模を考え、「政治的議論はともかくとして、経済的なダブルウィンを目指す」という同社に対しては批判的な意見も多い。謝宜璋金門県議長(国民党)は8日、「理解できないやり方。自分で自分を貶めている」と批判。「国家の品格を損なう行為」「いっそのこと、売らないほうがまし」などの声も出ている。
経済と政治のはざまで揺れるこの記念酒、中国での売れ行きが気になるところだ。