低価格ノートパソコン(ネットブック)、「Eee PC」で、昨年世界中にネットブックブームを巻き起こした華碩電脳(ASUS)が、昨年第4四半期決算で設立以来初めてとなる赤字を計上する見通しだ。同社は8日、同期純損益率が2~5%となると発表し、今年から幹部を対象にした減給実施を明らかにした。アナリストの予測では、同期純利益は従来予測の50億~70億台湾元から一転、20億~30億元(約55億~83億円)のマイナスまで落ち込む恐れがある。9日付経済日報などが報じた。
ASUSは8日夜、世界景気の急速な冷え込みを原因とした在庫増などを受け、昨年第4四半期業績目標の下方修正を発表した。売上高は前期比13%減の680億元、粗利益率は10~13%で、営業利益率は5~8%のマイナスになるとした。出荷台数も、ノートPCを160万台(従来190万台)、Eee PCを150万台(同180万台)に下方修正した。
董監事報酬、6割カット
張偉明ASUSスポークスパーソンは、2月12日に開催予定の業績説明会で昨年度決算を公表するとした。また、赤字の原因は経営陣の運営面の甘さにも問題があるとし、業績回復まで幹部を対象に減給を行うことを明らかにした。今年の施崇棠董事長ら董監事の報酬は6割カット、沈振来執行長(CEO)ら副総経理以上の管理職は3割の減給となる。
沈執行長は同日の従業員向け文書の中で、2002年にマザーボード出荷枚数で他社に追い上げられ、利益が前年比38%減の100億元まで縮小した例を挙げ、「ピンチはチャンスだ。危機意識を持って苦境から立ち上がろう」と呼び掛けた。また、現段階では一般社員に対する減給、人員削減、無給休暇などの実施計画はないと強調し、人員の補充は部門間の異動で賄い、新規採用は行わないと説明した。
今年はノート800万台目標
沈執行長は、基本機能重視で値ごろ感のあるノートPC、「Omega」シリーズを3月以降に発売し、業績回復を図りたい考えだ。同社は今年のノートPC出荷台数で、800万台達成を目指す。
アナリストは、今年第1四半期の同社の売上高は500億~550億元で、営業利益率は0~5%、通年利益は130億元と予測している。
【表】