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作成日:2009年1月12日_記事番号:T00012757
超精巧なニセ人民元札、台湾で製造し流通か
昨年から中国で出回っている偽造人民元100元札(約1,320円)は、その大部分が「HD90」で始まる記番号を持ち、偽造紙幣識別機でも見抜けないほど精巧に作られている。広東、福建をはじめ中国各地で発見されているこの偽造100元札、実は台湾で製造された可能性が高いという。
台湾で許晋誠(41)容疑者を主犯とする8人の紙幣偽造グループが摘発されたのは昨年10月のこと。台湾元紙幣偽造の前科を持つ許容疑者は、約1,000万台湾元(約2,700万円)をかけて印刷機など設備を購入し、人民元のほか台湾の高速道路の回数券や運転免許証も偽造していた。
押収された計1億3,500万人民元(うち4,500万元は未完成品)分の偽札は、透かしや銀色の偽造防止ラインがあるだけでなく、変色インキも使用するなど、その精巧な作りに警察も驚くほど。完成した偽札は、いずれも黒い防水用のビニル袋で何重にも包まれていたことから、漁船で台湾から中国へ運んだとみられている。
この偽造グループによる偽札が、一体どれだけ中国へ流入したかは不明だが、頭文字「HD90」の偽造100元札は、08年下半期から中国各地に出回るようになった。中国では現在、「HD90の100元札はお断り」という商店も多いとか。
中国ではこれまでに、「HD90」のほかにもHB90、WJ135、FA、AB77、AB88、AB99で始まる記番号の偽札(額面は10~100人民元)が見つかっている。中国人民銀行貨幣金銀局は「記番号だけでは真贋の判断はできない」と表明。偽札の流入経路はまだ確定できていないが、周辺国家と連携して捜査を進めることも視野に入れているという。