ニュース 商業・サービス 作成日:2009年1月14日_記事番号:T00012848
交通機関の利用や買物、公共料金などの支払いが1枚の電子マネーカードでできる、本格的なキャッシュレス時代が台湾にも近く到来する。多業種で利用できる電子マネーの発行を銀行以外にも認める「電子票証発行管理条例」が13日、立法院本会議で可決された。早ければ6月には施行される見通しで、台北の公共交通機関で利用できる「悠遊カード」やセブン-イレブンの「icashカード」などの利用範囲が広がり、消費者の利便性が大きく向上しそうだ。1,500億台湾元(約4,030億円)以上の関連商機拡大も期待されている。14日付蘋果日報などが報じた。
多業種で利用可能な電子マネーの発行は従来銀行にのみ認められていたが、電子票証発行管理条例の成立によって、資本金3億元以上の企業も、監督機関である行政院金融監督管理委員会(金管会)の審査を経て認可を得られるようになった。銀行以外の業者はこれまで、特定の範囲でのみ利用できる電子マネーの発行しか認められていなかった。
金管会銀行局の蕭長瑞副局長は、条例実施に向けて関連法を6カ月以内に整備する意向を示した。なお、十分な議論がなされていないとして、民進党の立法委員20人が連名で審議差し戻しを求めていることから、立法院臨時会議が開催される。同条例は、臨時会議での差し戻し案審議を経た上で、最終的に立法化される見通しだ。
悠遊カード、5千店で利用可能に
「悠遊カード」は、台湾最大の1,520万枚の発行枚数を誇る。悠遊カード公司の連勝董事長は、同条例が施行されるとみられる6月には悠遊カードに電子マネー機能を搭載し、年内に少なくとも5,000店で利用できるようにすると意気込みを語った。
同社は条例施行を視野に、▽スーパーマーケット▽コンビニエンスストア▽パン店▽喫茶店▽映画館▽ガソリンスタンド▽自動販売機──などでの悠遊カード利用を目指し、既に各企業と交渉に入っている。また、観光地の入場券なども利用対象として想定している。現在は台北のMRTとバス、台湾鉄路(台鉄)の一部区間で利用が可能だが、台湾高速鉄路(高鉄)でも使用できるようにしたい考えだ。 統一超商(プレジデント・チェーンストア)の「icashカード」は、700万枚以上が発行されている。セブン-イレブンは、統一超商が運営するスターバックス(コーヒーチェーン)、康是美(コスメッド、ドラッグストア)などでも使えるようにしてほしいという要望が多いとして、歓迎の意を示した。実際に利用範囲をどこまで広げるかについては、これから検討していくという。
1500億元の商機創出
淡水大学経済系の廖恵珠教授は、「業種・業態を超えて利用できる電子マネーは、必ず消費を促進させる。電子マネーの利用以外にも、店舗からの手数料収入、電子マネーカードの広告費用など、産業界全体に1,000億元以上の商機をもたらす」という分析を示した。中国時報では、電子マネーカードのチャージ(入金)可能額が最大1万元のため、全土1,500万枚で1万元がすべて利用されるという試算を基に、1,500億元の商機が生まれると見積もっている。
一方で、無記名式の電子マネーカードの紛失・盗難を心配する声も多く、万一の事故を防ぐため入金を多くし過ぎないようにと蘋果日報は呼び掛けている。
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