内需拡大を目的とする、3,600台湾元(約9,800円)分の消費券発給初日となった18日、台湾全土で2,117万人が消費券を受け取り、発給率は約91%に達した。消費券を手にした多くの消費者が買い物に出掛け、量販店で通常の週末に比べ約2倍の人出となったほか、百貨店、家電量販店なども大勢の客でにぎわった。消費券に対しては「財政バラまきの上、一時的な効果しか見込めない」という批判もあるが、劉行政院長は今回の実施状況を見極めた上で2回目の発行も検討する考えを示した。19日付工商時報などが報じた。
中国大陸から金門に嫁いだ黄さんとその家族。消費券の配布対象には今年3月31日までに生まれた台湾住民とその外国人配偶者(中国大陸出身者含む)が含まれるため、3人分1万800元を受け取った
(18日=中央社)
配布場所には長蛇の列も
18日に受け取らない場合、消費券を次回受け取れるのは2月7日午後まで待たなければならないこともあり、郵便局など各地の配布場所には大勢の人が詰め掛けた。同日の発給率は、2直轄市・23県中、18県市で90%以上で、全体では台湾籍住民の91.37%、外国人配偶者の77.33%が消費券を受け取った。
量販店、日用品・家電が人気
量販店、大潤発(RTマート)では同日、来客数が通常の休日の2倍、売上高は昨年同期比で50%成長して3億元を超え、1日の売上高としては過去最高を記録した。客単価も春節(旧正月)前は例年2,000元前後だが、18日は3,000元に迫ったという。
愛買(Geant)も同日の売上高は前年同期比50%増の3億元突破で過去最高、人出は平日の3倍となった。台北県板橋市の愛買板新店では、24台のレジをすべて使用しても、各レジに20人以上が並ぶという盛況だった。なお同量販店での消費券使用率は60~70%に上ったという。
量販店最大手の家楽福(カルフール)でも、人出は通常の休日の2倍、消費券利用率は約8割に上った。
工商時報によると、同日消費者に最も人気となったのは生活必需品で、家電、ゲーム機などもよく売れたという。
さらに太平洋そごう、新光三越百貨、遠東百貨など百貨店でも、いずれも通常の休日に比べ来店者数50%増、売り上げ30%増、客単価3,000元超と、11月の創業祭セール以来の好調さだった。太平洋そごうの李光栄総経理によると、小型家電、スポーツ用品、子供服などが人気で、客単価は3,000~5,000元となったという。
家電業界から「短期効果のみ」の声も
一方、家電量販店の燦坤実業でも同日、約85%の消費者が消費券を利用して商品を購入し、1日の売上高が過去最高の4億5,000万元を記録した。売れ筋は液晶テレビ、ノートパソコン、デジカメ、暖房器具などだ。業界関係者からは、840億元規模とされる消費券商機のうち、3C(コンピュータ、通信、家電)販売業者は1割に当たる84億元前後を獲得できるとの予測もある。
ただ、燦坤の閻俊傑総経理は、「消費券商機は短期的な効果しかなく、長期的にみれば今年3C業界の売上高は、昨年比2割前後の減少となる」と悲観的だ。
劉行政院長、「効果見て再発給検討」
史上初となる消費券発給は、きわめて高い発給率で消費者からの歓迎が示され、さらに各売り場でも人出が大幅に増えて売り上げが大幅に伸び、初日は期待以上の効果が表れた。こうした中、「第2回目の発給はあるか」との質問を受けた劉兆玄行政院長は、「今回の発給がどれほど消費を刺激できるかを見て検討する」とコメントした。