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プロモスに50億元融資、財務危機突破に望み?


ニュース 電子 作成日:2009年2月3日_記事番号:T00013123

プロモスに50億元融資、財務危機突破に望み?

 
 110億台湾元(約292億円)に上る海外転換社債(ECB)の償還期限が今月14日に迫っているDRAM大手の茂徳科技(プロモス・テクノロジーズ)に対し、台湾銀行をはじめとした政府系8銀行が、十分な担保確保などを条件に50億元の追加融資に応じる方針を先月決定していたことが分かった。債権銀行によるプロモスへの支援表明は、同社が昨年12月に政府に救済を申請して以来初めて。同社が財務危機をくぐり抜けられるかはまだ不透明だが、「明かりが見えた」という観測も出ている。3日付工商時報が報じた。
 
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 プロモスへの追加融資については、最大の債権行である台湾銀行および台湾金融控股の董事長で、中華民国銀行公会理事長である張秀蓮氏が2日、「実行する可能性もある」と述べて強い注目を浴びた。

 台湾銀の案は、8行が従来の債権額に応じて資金を拠出し期間1年のシンジケートローン(協調融資)を行うものだ。同行は他行の全面的な支持を取り付けるため、▽十分な担保が得られること▽経済部が明確な産業政策を提示し、プロモスと他社の合併を推進すること──を実行条件に挙げている。工商時報によると、台湾銀はプロモスが中部科学工業園区(中科)に持つ12インチウエハー工場の設備を担保とし、プロモスの米国子会社を連帯保証人にすることを求めている。現段階ではこれらの条件についてプロモスとの間で合意に達しておらず、協議が続けられているという。

 なお、事情に詳しい人物によると、プロモスの財務顧問であるシティグループの担当者が債権者に転換社債の償還延期が可能かどうか打診した結果、14日当日の資金圧力は50億元まで軽減されたもようだ。残りの60億元のうち、一部は自己資金でまかなえるほか、最終期限を2012年2月14日として債権者が償還延期を認めるものもあるという。

尹経済部長、静観の構え
 
 政府系8行の新規融資方針について尹啓銘経済部長は、「意見書を提出するかもしれないが、それはDRAM業界とプロモスの現状に対する客観的な意見を表明するためで、プロモス支援の裏書きはしない」と発言。「銀行団とプロモスの協議は純粋な商業行為で、銀行団は金融機関としての決定を下すだろう」と述べ、政府としては距離を置く姿勢を示した。プロモス救済問題については劉兆玄行政院長も春節(旧正月)前、「個別の債務案件には介入しない」という立場を明らかにしている。

 工商時報は、体質の悪化した企業が淘汰(とうた)されなければ不健康な産業構造が維持される弊害があると指摘した上で、現在、力晶半導体(PSC)と南亜科技の両陣営がプロモスの破綻(はたん)を待って経営権を争おうという状況の下、政府は深い介入を避けるべきだと主張した。

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