尹啓銘経済部長は3日、政策説明会を開き、懸案のDRAM業界再編について、「政府主導で行う。2月末には統合の枠組みを示し、参加意思のあるメーカーを募る」と明言した。DRAM業界ではこれまでに、▽力晶半導体(PSC)▽エルピーダメモリと茂徳科技(プロモス・テクノロジーズ)──の2者が政府に業界再編・統合計画を提出しているほか、南亜科技・米マイクロン陣営も独自の再編案を検討中とされており、尹経済部長の発言からは、一連の流れの中でDRAM産業強化に向けた政府案が固まりつつあることがうかがえる。4日付経済日報などが報じた。
尹啓銘経済部長(右)は「政府統合案に参加せず単独で事業を継続することも可能」と柔軟な姿勢を示した。どのようなメーカーの組み合わせが実現するのか注目が高まる(3日=中央社)
政府、統合案に自信
尹経済部長は、「DRAMとファウンドリーは半導体産業の2大支柱であり、政府は必要な支援を行う」と語った上で、DRAM業界の中長期的な再編統合を進めるに当たっては「競争力を備えること、核心技術の獲得、次世代製品の研究開発(R&D)のために必要な資金に目を配ることが基本原則」と語った。統合後に一つの企業体とするかどうかについては「デリケートな問題だ」としてコメントを避けたが、「政府が持ち株比率50%を占める公営企業にすることは絶対にない」と強調した。
一方、経済部関係者は、DRAMメーカーからの相次ぐ支援要請や再編計画の提出を通じ、業者にとって何が必要なのか十分に把握したとしている。今後政府が提示する新たな統合案が、域内主要5社にとって魅力的なものとなることに自信を持っているようだ。
日米大手の協力にも楽観的
尹経済部長はまた、「既にエルピーダメモリおよび米マイクロン・テクノロジーといった核心技術を保有する日米大手の幹部と数回にわたり接触しており、台湾政府に協力する意思があることを確認している」として、政府案は両社から受け入れられるという見通しを語った。ただ政府がエルピーダとマイクロンのうち、どちらを提携先として選ぶ可能性が高いかについてはコメントしなかった。
プロモスへの50億元融資、中止か
茂徳科技(プロモス・テクノロジーズ)が今月14日に110億台湾元(約290億円)に上る海外転換社債(ECB)の償還期限を迎える問題で、台湾各メディアは3日、「政府系9銀行が50億元の追加融資を行う方針を決めた」と報じたが、4日付工商時報によると、最大債権行である台湾銀行が3日深夜、プロモスの他の主要債権行に対し「プロモスへのシンジケートローン(協調融資)推進をいったん停止する」と通知する電子メールを送付した。
観測によると、台湾銀は融資中止の理由として、プロモスの提出した担保条件が、銀行団の求める条件に満たなかったことなどを挙げたとされる。
この件について尹経済部長は3日、「米国に本社を置く半導体の封止・検査企業がプロモスへの融資の連帯保証人になることを承諾した」ことを明らかにした。この企業はキングストン・テクノロジーの可能性が高いとの見方が出ているが、同社が引き受ける保証額をさらに積み上げなければ、ほぼ決定とみられた同融資案は中止となる公算が高まりそうだ。