企業間の商品取引および輸出入品の価格指数、卸売物価指数(WPI)は1月99.67ポイント(2006年を100とする)で、国際原料価格の下落を受けて前年同月比10.43%急落し、石油危機の影響を受けた1975年3月(マイナス11.53%)以来の大幅な落ち込みを記録した。これまでデフレ懸念を否定してきた行政院主計処は5日、「19日の経済予測発表で明らかになる」と含みを残した。一方、消費低迷に直面している小売・サービス業界では、値下げによる顧客獲得競争が既に激化している。6日付経済日報などが報じた。
主計処によると、原油価格はピーク時の昨年7月から70%下落、小麦、大豆、トウモロコシなどの基幹食糧品価格が40~50%下落しており、WPIの急落を導いた。また、半導体など電子製品の輸出価格下落も影響した。12月の輸入物価指数の前年比下落率は11.91%、輸出物価指数の下落率は9.19%で、ともに99年以来最大の下落幅だった。
WPIは昨年7月以降下落傾向にあるが、日用品などの価格に変化はないと不満を感じている消費者も多いようだ。主計処は、原料価格下落が小売価格に反映される時期について、メーカーの在庫量や供給元との契約なども関係するため商品によって異なり、ガソリンなど石油製品価格では2~3カ月後となるが、外食などでは半年以上かかることもあると説明した。
量販店、自社商品2割値下げ
量販店などでは、消費意欲刺激を目的とした値下げの波が既に始まっている。家楽福(カルフール)、大潤発(RTマート)、愛買などでは、もともとメーカー品より低価格に設定している自社ブランド商品を昨年末から値下げしている。▽ティッシュペーパー▽小麦粉▽食用油──などが対象で、値下げ幅は最大20%に上る。また、店舗内で焼き上げるパンは平均20~30%の値下げだ。
高級ホテルでも、結婚披露宴や忘年会などの宴席プランのキャンペーンを打ち出している。特定日は半額以下と発表した晶華国際酒店(フォルモサ・インターナショナル・ホテルズ)には5日、問い合わせの電話が100通以上も殺到した。同社では業績の3割成長を期待している。
海外ブランド各社も価格見直しが迫られているようだ。米ナイロンバックブランドのレスポートサック(LeSportsac)は、昨年の秋冬商品に続き、今年の春夏商品も10~15%値下げする。
CPI上昇率、春節でも下落
1月の消費者物価指数(CPI)上昇率は1.59%で、春節(旧正月)のあった月としては珍しく、前月(1.21%)から0.38ポイント下落した。主計処は、1月18日から配布された消費券による商機を見込み、小売・サービス業界で割引などのキャンペーンが幅広く実施されたことが影響したとみている。
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