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TSMC、3月から無給休暇を見直し


ニュース 電子 作成日:2009年2月11日_記事番号:T00013313

TSMC、3月から無給休暇を見直し

 
 台湾積体電路製造(TSMC)は、携帯電話チップの在庫補充を目的とした緊急受注で設備稼働率が回復し、3月から12インチウエハー工場の一部従業員の無給休暇を取り消す。聯華電子(UMC)も3月の無給休暇の日数を当初予定の8日から4日に半減させる。今回は緊急受注に応じた措置で、実際の需要回復がこれに続くかどうかが鍵となるが、現時点での判断は困難という見方が多い。10日工商時報が報じた。
 
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 携帯電話チップの在庫補充は、中国での第3世代(3G)通信網の基礎インフラおよび基地局の設置需要への対応措置として、クアルコム、インフォニオン、聯発科技(メディアテック)などが行っている。これらのメーカーによる発注量は一時、昨年の最高時の2~3割まで落ち込んでいたが、現在4~5割の水準まで回復した。ザイリンクス、アルカテルも積極的に在庫補充に動いている。

 このほか、グラフィックチップ2強のエヌビディアとAMDが3月からTSMCとUMCに40ナノメートルの新チップを発注する。マイクロソフトのXBOX360、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のプレイステーション3(PS3)などゲーム機用チップの在庫補充のための発注も、3月末分まで決定している。

 TSMCとUMCが3月から行う無給休暇措置の見直しは、こうした需要増を受けてのものだ。UMCの孫世偉執行長(CEO)は10日の業績説明会で「一部には残業しなければならないラインもある」と語っている。ファウンドリーの稼働率上昇は3月下旬にはパッケージング・テスティング(封止・検査)メーカーに反映するとみられることから、日月光半導体(ASE)や矽品精密工業(SPIL)も3月の無給休暇措置を見直すという観測も出ている。

PC用チップの受注回復が鍵
 
 電子製品の生産チェーンの最上流に位置するファウンドリーの稼働率がいつ回復するかは景気回復を占う重要な指標で、緊急受注を好感したメリルリンチ証券は10日、アジア半導体産業の投資評価を引き上げた。同社のダニエル・ヘイラー半導体首席アナリストは、市場の底打ちからの回復を予想している。

 しかし台湾半導体業界ではこうした見方に対し依然大きな疑念が存在する。これは、現在の緊急受注の大部分が在庫補充を目的としたもので、新規受注の割合が低いためだ。

 さらに、緊急受注は携帯チップに集中しており、パソコン(PC)用チップの受注はまだ回復していない。インテルやAMD、エヌビディアの在庫消化の水準が期待を下回り、4月、5月にPC用チップの新規発注が行われない場合、今回の緊急受注は一過性のものに終わってしまう恐れも否定できない。実質需要の回復が見えない中、無給休暇を全面的に取りやめようというメーカーは依然出てないのが現状だ。
 
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