過去に立法委員を5期務め、民進党内で台湾独立理論のエキスパートともいわれた林濁水氏は12日、自著『歴史劇場:痛苦執政八年』の発表会で、陳水扁前総統は民進党の勢力を弱めた「民主の重罪人」、台湾独立に関する方針がぶれ独立派を傷つけた「台独の重罪人」だと語り、前総統を強く批判した。13日付聯合報が伝えた。
林濁水氏。民進党内は陳前総統に対する批判・擁護で論争があり、スタンスがまとまらないことがさらなる失望を招いている(12日=中央社)
林氏は、陳前総統は在任中、南部と北部の格差を軽減し、社会保障制度にも一定の業績を上げた、と一定の評価を行った。しかし、2008年の立法委員選挙で民進党の議席を半減させたことや、2000年の就任当初は中華民国の国名の変更をしないことなどを含む「四不一没有」を掲げたにもかかわらず、政権末期には台湾名義の国連加盟を主張するなど一貫性を失い、台湾独立派を傷つけたと批判した。
同じく民進党の独立派で、対談相手として出席した政治大学台湾文学研究所の陳芳明所長は、「権力の乱用や政治献金の受領など、あらゆることに『独立建国』を免罪符として利用したことは、独立派を大きく傷つけた」述べ、「このような考え方が党内にまだあるなら、もっと多くの『阿扁(陳前総統の愛称)』を生んでしまう」と前総統を支持する党内の派閥を厳しく批判した。