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作成日:2009年2月18日_記事番号:T00013442
パイプカット急増、不景気が少子化に拍車

長引く不況が、台湾の少子化に拍車を掛けている。人員削減や無給休暇のせいで子供を望まない家庭が増え、その結果として避妊手術や堕胎、果ては子供の遺棄や里子に出すケースまで増加している。
行政院衛生署豊原医院(台中県豊原市)泌尿器科ではここ2カ月、避妊のためにパイプカット手術を受ける男性が月20人とこれまでの2倍に増え、過去最高を記録した。行政院衛生署桃園医院(桃園市)でも、昨年末から現在まで毎週平均して3~4人の男性がパイプカットしている。
台湾では過去、中国投資が盛んになった時期にパイプカット手術が増えたことがある。中国で愛人を囲うことを心配した妻が、夫にパイプカットをしてから赴任するよう求めたからだ。
しかし今は事情が違う。生後6カ月の男児を持つ陳さん(24)は、システムエンジニア。パイプカットを受けた理由は、「いつ失業するか不安で、これ以上は子供を養えないから」。
一般にパイプカットを受ける男性は、ホワイトカラーの高学歴者、年齢は30歳過ぎで、既に子供がいてこれ以上持たないと決めた人が多いという。手術代は自費で、5,000~8,000台湾元(約1万3,000~2万1,000円)。
一方、婦産科医学会の統計によると、台湾中部の100軒以上の産婦人科医院で、昨年10月から子宮内避妊用具を装着する女性が2割増え、堕胎率は4割に急増した。
従来は未婚で妊娠したため堕胎するケースが多数を占めたが、現在では若い夫婦が経済的な理由から堕胎するケースが多いという。