宏碁(エイサー)がスマートフォン市場に正式に参入した。自社ブランド初の4機種を16日発表し、年内に計10機種を投入する。後発組ながらも、消費者のニーズ把握に自信を持つ同社は、本業のノートパソコン(ノートPC)市場を上回る年間2億台規模のスマートフォン市場で、「5年以内に世界5位入りを目指す」と宣言した。18日付蘋果日報などが報じた。
スライド式QWERTYキーボードや指紋認証機能も備えるエイサーDX900。強いブランド力で、どこまでシェアを伸ばせるか注目だ(同社提供)
エイサーは、世界最大規模のモバイル関連製品展示会「Mobile World Congress(モバイル・ワールド・コングレス)2009」(スペイン・バルセロナで16~19日開催)で、初の自社ブランドスマートフォン「TEMPO」シリーズ、DX900、M900、F900、X960の4機種を披露した。3~4月に12カ国・地域で発売され、販売価格は通信業者との提携で最低49ユーロ(約5,700円)、最高500ユーロとなるもようだ。
今回発表されたハイエンド4機種で特に注目を集めるDX900は、第3.5世代と第2.5世代規格いずれにも対応する業界初のデュアルSIMスマートフォン。ディスプレイは2.8インチで、320万画素のデジタルカメラを搭載、3Dアイコンで操作しやすいインターフェイスとなっている。
携帯事業、売上高の1割を想定
エイサーは、2007年9月にスマートフォンおよびPDA(携帯情報端末)の倚天資訊を買収後、1年以上かけて今回の市場参入にこぎつけた。王振堂エイサー董事長は、参入時期が他社と比べて遅いとされることについて、「華碩電脳(ASUS)の低価格ノートパソコン(ネットブック)、Eee PCも(半年以上遅れて発売したエイサーのAspire Oneが)追い抜いた。慌てることはない」と勝算に自信を示した。
王董事長は、今後、インターネット機能を持つ携帯電話とネットブックは、商品としての境界線が曖昧(あいまい)になってくると指摘。同社携帯電話事業の売上高は12年までに同社全体の10%に達すると見込んでいる。エイサーの昨年の連結売上高5,600億元から試算すると560億元で、この数値は現段階でスマートフォン世界シェア5位(5.8%)、宏達国際電子(HTC)の売上規模の3分の1に相当する。なお、市場調査会社、Canalysの統計による昨年第3四半期の世界シェアは、▽首位ノキア、38.9%▽2位アップル、17.3%▽3位リサーチ・イン・モーション(RIM)、15.2%▽4位モトローラ、5.8%──だった。
ASUSも2機種を発表
また、ネットブックを含むノートPCで台湾最大のライバル、ASUSも16日、全地球測位システム(GPS)世界最大手のガーミン(台湾国際航電)との提携による「Garmin-ASUS」ブランドのスマートフォン、nuvifone G60、M20を発表した。同社はグーグルのモバイルプラットフォーム「アンドロイド」搭載のスマートフォンも投入する考えだ。今後3~5年、毎年15%拡大すると予想されているスマートフォン市場は、ノートPCメーカーの参入も進み、ますます競争が激化している。