シャープが亀山工場(三重県)の液晶パネル第6世代生産ラインを、上海広電集団に売却して同社に生産を委託することを検討しているという日本経済新聞の報道に関し、奇美電子(CMO)の何昭陽総経理は22日、「世界のパネル産業が過去数年維持してきた『恐怖の均衡』崩壊につながり、台湾メーカーの今後の展開に重大な影響を及ぼす」と警戒感を語るとともに、「政府と産業界は速やかに対策を講じて不利な状況を打開すべきだ」と呼び掛けた。23日付工商時報が報じた。
中国は過去数年、パネルの前工程生産ライン誘致を進めており、日・台・韓の各メーカーに対し新世代工場への投資に30億人民元(約409億円)規模の補助を支給することを提示したとも伝えられている。こうした条件提示を受け、シャープ以外に韓LGディスプレイ(LGD)も華南地方に7.5世代ラインを設置する意思があるとされる。
台湾メーカーでは中華映管(CPT)が、「確かにそうした(中国での前工程ライン設置の)考えはある」とした一方、「大陸(中国)の政府は公的資金投入や租税優遇措置など台湾メーカー誘致のためにさまざまな方策を打ち出しているが、台湾側の開放に向けた法改正は遅々として進んでいない」と、現段階では実現不可能だと指摘した。さらに「こうした状況の中、大陸側も日韓メーカーの誘致に方針を転じており、台湾メーカーが持っていた有利な条件は今後どんどん失われていく」と悲観的な見方を示した。