世界的な不況で昨年末に減産に入った韓国の液晶パネルメーカーがウォン安を追い風にフル稼働に入っている。業界関係者は韓国メーカーが世界シェアを伸ばすことになると予想している。
韓国紙朝鮮日報などによると、サムスン電子とLGディスプレイ(LGD)は、昨年末に生産量を最大40%削減するなど、いったんは減産体制に入ったが、両社とも最近は設備稼働率を最大にまで高めている。
LGDの権暎寿(クォン・ヨンス)社長は、「小型のパソコン用液晶パネルは在庫調整が終わっていないが、テレビ用のラインはフル稼働状態だ」と説明。サムスン電子関係者は「ウォン安で製品の価格競争力が40%前後上昇した」と話している。
韓国メーカーはウォン安で相対的に価格競争力が上昇し、主要市場の米国でシェアを伸ばしているほか、中国政府が農村部への家電普及に向け打ち出した「家電下郷」政策の恩恵も受けている。
これに対し、台湾の液晶パネルメーカーは価格が生産コスト割れを起こしており、現時点で設備稼働率を引き上げることに慎重だ。大手の友達光電(AUO)は、第1四半期の設備稼働率が50%にとどまると予測している。台湾メーカーは設備稼働率を引き下げることで、供給不足の状況をつくり出し、市場価格の上昇を促す戦略を取っている。しかし、台湾メーカーの「売り惜しみ」が今後も続けば、韓国メーカーにシェアをさらに奪われかねない。