2日の台湾元相場は対米ドルで35元を割り込み、22年ぶり安値となる1米ドル=35.174元で取引を終えた。取引中には35.207元を付ける場面もあり、心理的抵抗線の「彭淮南防衛ライン」(彭中銀総裁就任以来の最安値)に迫った。
3日付蘋果日報によれば、急激な台湾元安をめぐり、学識者から輸入コストの増大が投資意欲に悪影響を及ぼしかねないとの声が上がっている。
中華経済研究院の王儷容・経済展望センター主任は「台湾元安が続き、輸入物価が上昇し、輸入コストが大幅に増加している。輸入額は通常、企業による投資指標となるが、輸入額の減少は企業の投資意欲が弱まっていることを示しており、経済成長に影響を与える」と指摘した。行政院主計処は今年の民間投資が前年比28.7%落ち込むと予想しており、輸出競争力確保に向けた台湾元安容認が「諸刃の剣」であることを改めて浮き彫りにした。
王主任はまた、「韓国ウォンは一段安が予想され、ウォン安進行で域内圧力が高まれば、台湾元はさらに下落する」との悲観的な見通しを示した。
ただ、台湾元安は韓国企業にシェアを奪われている電子業界にとっては朗報だ。台湾区電機電子工業同業公会(電電公会)の焦佑鈞理事長は「電子業界の受注を韓国に奪われている。最近の台湾元安は韓国との比較で短期的に台湾の電子製品の価格競争力が増すため、好ましいことだ」と述べた。
一方で、中華民国工業協進会の李成家理事長は「台湾元安は輸出には有利だが、輸入には不利に働くので、大局的な配慮が必要だ。急速な台湾元安は市場の安定という意味で好ましくない」と懸念を示した。