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鴻海董事長「谷底は近い」、景気見通しを一転


ニュース 電子 作成日:2009年3月5日_記事番号:T00013826

鴻海董事長「谷底は近い」、景気見通しを一転

 
 鴻海精密工業の郭台銘董事長は4日、「電子業界の短期景気は想像されているほど悪くない。谷底は近い」と語り、これまでの悲観的な景気予測を一転させた見方を示した。同社は第1四半期以降の緊急受注を受け、中国の生産拠点で5%の増員を行う構えだ。中長期の景気予測は困難だとしながらも、回復時期は今後1~2年以内とみている。5日付蘋果日報などが報じた。
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郭董事長の景気見通し転換を好感し、株式市場はこの2日で一気に200ポイント上昇した(4日=中央社)
 
中国需要が成長の原動力

 郭董事長はこれまで、「景気は皆が想像する3倍は悪い」(昨年12月19日)、「雲の中、太陽を探すような状態」(今年1月23日)、「最悪の時期はまだ始まっていない」(2月11日)など、一貫して悲観的な発言を行ってきた。

 今回、景気見通しに変化がみられたことについて、万宝証券投資顧問(MARBO)の蔡明彰総経理は、以前は欧米市場の需要が芳しくないため悲観的だったが、中国市場の需要回復による緊急受注の増加が楽観に転じた理由と指摘した。また、台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀董事長が先月23日、世界の半導体景気が既に谷底に達したとの見方が示され、IC設計世界3位の聯発科技(メディアテック)が今月3日、第1四半期の売上高予測をプラス成長へと大幅に上方修正したことも挙げ、域内メーカーにとって、中国の需要が業績回復の原動力となるという考えを示した。

大手電子企業の経営陣、楽観視相次ぐ

 最近、電子業界の大手企業トップから、景気を楽観視する見方が相次いで示されている。

 宏碁(エイサー)の創業者で前董事長の施振栄氏は4日、景気回復にかかる時間は業種によって異なるが、いずれの業種でも今年が底だと語った。

 液晶パネル域内最大手、友達光電(AUO)の陳?彬副董事長も同日、今年のパネル景気は月ごとに良くなっていくと、従来からの見方を繰り返した。AUOは、今年通年で1,500人を採用する計画も発表した。

2月の売上高、1千億元台を回復か

 鴻海は今月10日、2月の売上高を発表する予定だ。証券会社からは、緊急受注の効果が期待でき、春節(旧正月)休暇が終わり稼働日数も通常通りのため、1,000億台湾元(約2,850億円)台を回復するとの予測が示されている。鴻海の1月の売上高は前月比24.3%減、前年同月比12.1%減の923億9,500万元で、直近20カ月で最低だった。

 なお、郭董事長は4日、大手ブランド以外の中国メーカーによる、いわゆる「山寨機(さんさいき)」の低価格ノートパソコン(ネットブック)の受託生産を開始したという今月2日の経済日報の報道について、「ありもしない話」と否定した。