台湾ホンダおよびトヨタ車を製造する国瑞汽車が週5日の生産ライン稼働を回復している。長らく不振が続いてきた自動車市場だが、今年1月から実施されている排気量2,000cc以下の小型車などに対する貨物税(物品税)減免措置が奏功し、新車購入意欲に一定の回復がみられるようだ。一方ホンダ、国瑞の2社以外でも受注の回復がみられるが、各社とも市場が再び冷え込むことを懸念して「週休3日」態勢を崩していない。9日付工商時報が報じた。
自動車ディーラーも、「1月半ば以降、売れ行きは確かに回復している」と、手応えを感じているようだ(9日=YSN)
部品不足に緊急対応
台湾ホンダの陳俊亮助理協理は、「当社は昨年12月中旬から春節(旧正月)まで約1カ月半生産を停止していたため、現在1,600台の新車受注が累積している」と話す。しかし追加の部品が到着するには3カ月が必要で、注文を消化するため先に届いた部品を前倒しで使用して、週5日稼働を回復し、さらに今月13日からは週末の休日出勤も実施する予定だ。
一方国瑞の幹部も、「和泰汽車は1日200~300台を受注しており、当社は在庫不足解消のため、生産態勢を昨年末の週4日稼働から5日に戻した」と明らかにした。トヨタ自動車との協議で、ヴィオス(Vios)、カローラ・アルティス(COROLLA ALTIS)の部品については優先的に国瑞向けに出荷することで同意を得、急場をしのぐ考えだ。ただ輸送には40日間かかるため、生産が本格的に回復するのは3月末~4月初めになるとしている。
ホンダ、国瑞のほか、三菱自動車を扱う中華汽車工業、台湾マツダ、裕隆日産汽車、米フォード系の福特六和汽車の大手自動車各社も、春節(旧正月)以降は受注が予想を1~2割上回って在庫不足が生じ、勤務時間を1~2時間増やしている。
「一瞬の晴れ間」の懸念も
こうした傾向に著しい落ち込みからの回復と期待がかかるが、一方で「曇り空における一瞬の晴れ間」との懸念もあり、各社ともマーケティング費用の前年比2~3割削減、早期退職制度活用の奨励、残業手当の全面停止といったコスト低減策を維持し、景気の暗転に備えている。
トヨタの台湾総代理・和泰汽車の蘇純興資深副総経理は、「貨物税の減免効果は大きく、2月の新車登録台数1万5,500台を基にすると、今年の自動車市場は25万~26万台規模になるが、年初予測の23万台は変えない」と語った。