太平洋そごう百貨の新店舗となる天母店(台北市士林区)が5月23日にオープンする。テナント空室率の上昇が伝えられる同エリアで、大葉高島屋、新光三越と顧客を取り合うことになるとの懸念が出ているが、そごうは「ターゲットとする客層が異なり、入居するブランドも重ならない」として、共存・共栄が可能との考えだ。初年度の売上高目標は45億元(約130億円)で、損益均衡を目指す。18日付工商時報が報じた。
そごう天母店の完成予想図(同社提供)
そごうの発表によると、天母店はMRT(都市交通システム)芝山駅に近い、台北市中山北路六段と忠誠路との交差点に位置し、地上8階、地下4階建てで、売り場は地下1階から8階まで、全館の営業面積は1万4,000坪を超える。また、ビル周辺に2,000坪以上の公園と広場を持ち、環境に配慮した台湾では独特なショッピングモールとなっているという。
若いファミリーがターゲット
そごうの播本昇営運協理は、「天母エリアには学校、病院、高齢者が多いという特徴があり、さらに淡水などから台北市中心部へ向かう消費者を奪うことも可能だ」とみている。30才以上の女性または35~45才の若いファミリーをターゲットに設定し、45~60才の主婦・家族を主な客層とする高島屋と差別化を図る考えとしている。
同店には400店近くの店舗が入居予定となっており、▽Francfranc(フランフラン)▽ハンズ台隆手創館▽喫茶店・生活雑貨ブランド、アフタヌーンティーの「ティールーム」および「リビング」▽Comme CA ISM(コムサイズム)──などのリビング・生活雑貨用品が最も充実している。
ジュンク堂書店も入居、自転車販売大手の捷安特(ジャイアント)は旗艦店を構える予定だ。ジャイアントは、MRT淡水線に自転車を持ち込んでサイクリングに出掛ける市民に、駐車、修理、補給拠点としての役割を提供する計画だ。
5年以内に最高の経営状態へ
播本営運協理は、「5年以内に経営を最高の状態に調整し、年間売上高を70億~80億元まで引き上げたい」と語る。なお、天母エリアの高島屋と三越を合わせた百貨店の売上高は昨年80億元余りとなったが、そごうは、「3店で120億元以上の規模が可能」と集積効果に期待を示している。
高島屋・三越も対策進める
一方、そごうを迎え撃つ高島屋は、2年前に店舗の全面改装を行ったほか、今月からポイントカードを発行して固定客の引き止めに努める。また、これまで固定客の確保に成功していないとされ、業績もオープン初年より下降を続けている新光三越も、高級志向から転換し、「地域の百貨店」として支持されるべく周辺地域との連携を強化している。
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