株式市場が絶好調だ。10日も加権指数の終値は14.8ポイント上昇の9,384.73ポイントと7日続伸し、陳水扁総統就任以降で最高、7年来の高値を更新した。台湾株高は世界的な株価高騰の反映であると同時に、政府・中央銀行の政策的な後押しも奏功したもようだ。
JPモルガンフレミング証券が9日発表した、7月の投資家の信用度指数は過去最高の117.8ポイントに上った。2カ月前の5月に比べて11.7ポイントの上昇で、投資家が株式市場の動向により楽観的になっていることがうかがえる。
台湾各紙によると、この1カ月半余りの急上昇は、多額のクレジットカード債務者の救済手続きのための「消費者債務整理条例」や、保険会社による海外投資の上限を運用額全体の45%まで緩和した保険法改正案の成立、および中央銀行による資金の台湾元への還流を目的とした外貨預金準備率の引き上げなど、政策当局の一連の措置が機関投資家の好感を呼んだことが大きな理由だ。5月24日からみると、加権指数の上昇幅は1,153ポイント(14%)に達し、上場銘柄の時価総額も20兆5,000台湾元から23兆4,000億元へ約12%上昇した。
きょうも証券会社の店頭は一般投資家で満員。株価掲示板を見つめる視線にも熱がこもる。(10日=YSN)
すでに加熱の兆候も
今後の市場の展開について、米国が来年に大統領選挙を控えているため株高を維持するという期待感、および総統選挙を有利にするため民進党政権が経済・市場を刺激する政策を今後も打ち出していくという予想から、「このまま1万ポイントへ」(中国時報)など、台湾メディアは強気の見方が多い。
しかし、財政部証券期貨局によると、一定の利益を上げるために必要な投資額の指標である「本益比」が、台湾市場はすでに19倍を超えてニューヨーク市場の17.01倍、香港の16.16倍、韓国の13.21倍を上回っており、加熱の気配がある。ドイツ証券は、「今回は業績相場ではなく大型資金が動かしている相場であり、政策的な材料が出尽した後は上昇幅は限界がある」という見方を示している。
消費への影響見られず
台湾はかつて株式市場が好調な時は、自動車の販売が伸びたり、週末のレストランがすぐ満員になったりと、直ちに消費行動に反映していたが、今回はまだそうした現象はみられない。「今回もうけているのは大型資金を動かす外資と証券会社であり、個人はそれほどもうけていない」といわれる。
JPモルガンフレミングによると、過去半年の株投資で利益を上げた投資家は64.4%に上った半面、損失が出たと答えた人も28.2%いる。ただ、損失が出た人の比率は5月調査時の37.4%よりは減少した。利益を上げた人の利益率は10%以上20%未満が多く、全体の20.8%を占めている。