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作成日:2009年4月9日_記事番号:T00014615
仕組み債で背任疑惑、元大証券董事長ら辞任
仕組み債取引の損失の移し替えによって傘下の元大証券(事件当時の名称は元大京華証券)に約10億台湾元(約30億円)の損失を負わせたとして、馬志玲元大金融控股集団総裁夫妻が証券取引法違反および背任容疑で起訴された事件で、同集団の杜麗荘・元大証券董事長、張立秋・元大証金董事長、陳麒漳・元大銀行総経理の幹部3人が8日、辞任した。辞任の背景には行政院金融監督管理委員会(金管会)の意向が働いたとされる。9日付蘋果日報が報じた。
この事件は、元大金控傘下の元大投信が2005年9月に仕組み債取引で15億元の含み損を抱えた際、このうちの馬総裁夫妻の持ち株分53.8%をすべて元大証券に移し替え、さらに評価価額の操作によって元大証券に約10億元の損失を負わせたとされるもの。同時に元大証券に元大投信の株式10億元分を購入させ、馬夫妻がこのうち3億4,000億元分を売却して不当な利益を得た疑いが持たれている。馬夫妻は今月3日に起訴と同時に懲役10年を求刑され、事件にかかわったとして張立秋氏ら幹部4人が8年を求刑された。
事件に対し、杜麗荘氏は9日の朝刊各紙に意見広告を出し、元大証券への損失の移し替えは事実ではなく、潔白だと主張した。
元大金融控股は、陳水扁政権時代の復華金融控股買収にからむ贈賄疑惑で幹部が起訴されるなど陳政権との癒着(ゆちゃく)が指摘されていた。このため、今回の摘発については馬英九政権の政治的意図が働いているという指摘も出ている。