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不動産高騰で人口流出、台北市の小学生が激減


ニュース 社会 作成日:2009年4月13日_記事番号:T00014669

不動産高騰で人口流出、台北市の小学生が激減

 
 住宅価格の高騰が続く台北市では、若い世代にとってマイホーム購入は夢のまた夢。そこで、不動産価格の安い台北県などへ移り住む若い家庭が増え、それに伴い台北市では、新入生不足に頭を抱える小学校が急増している。

 1993年創立の大湖国民小学(台北市内湖区)は、かつて67クラスあった学級数が、この5年間で20クラスも減った。現在は47クラスあるが、今年は44クラスになる見通しだ。

 大湖小では学級数だけでなく、児童数も激減している。台北市政府教育局が規定する市立小学校1クラス当たりの児童数は上限32人だが、大湖小には1クラス20人、中でも1年生は1クラス17人しかいない。児童の減少は今後も進み、今年9月入学の新1年生は1クラス14~15人になる見通しだ。

 楊柳淳校長によると、児童数減少の原因は、少子化だけでなく、同校区に新築住宅が少なく、人口増加が見込めないことや、同校が交通の不便な山麓(さんろく)に位置していることが挙げられるという。

 これらの要因に拍車をかけているのが、住宅価格の高騰だ。台北市の住宅価格は、新型肺炎(SARS)まん延の影響を受けた2003年以降、昨年まで急激な高騰が続き、内湖区では4割以上も上昇した。同校付近では築5年の物件で坪単価が55万~60万台湾元(約163万~178万円)もするため、小学生の子どもを持つ若い夫婦にはなかなか手が出ない。そこで、坪単価が10万元そこそこの台北県林口郷や三峡鎮などへ移り住むケースが多いという。

 台北市政府はこのほど、大湖小の児童数激減に歯止めを掛けるため、苦肉の策を打ち出した。隣接する台北県汐止市長青里に住む児童に対して、戸籍を移さなくても大湖小に就学できる越境通学を認めるというものだ。2~3年後には36クラスにまで減るとの予測もある同校の対策は、果たして効果を生むだろうか。