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木造帆船「太平公主号」、大航海成功直前に沈没


ニュース 社会 作成日:2009年4月27日_記事番号:T00014974

木造帆船「太平公主号」、大航海成功直前に沈没

 
 「あと一歩のところだった。遺憾や残念という言葉ではとても表現しきれない」。太平洋往復横断という大航海成功直前に夢破れた中国式木造帆船「太平公主号」の劉寧生船長は26日、無念な胸の内をこう明かした。

 明代の帆船を模して造られた太平公主号は、全長16メートル、全幅4.5メートル、排水量35トン。伝統的な中国式木造帆船の造船技術を持つ福建省の職人が1年がかりで完成させたもので、材料の9割以上はスギやクスノキなどの天然素材を使用している。エンジンはなく、風と波まかせの航行だ。

 この太平公主号に乗り組んだのは、台湾、中国、日本、米国出身の計11人。10カ月前の2008年6月に基隆港を出発し、日本経由で北太平洋を横断し、10月に米国サンフランシスコへ到着した。

 復路は11月、アメリカ西海岸のサンディエゴを出発し、ハワイやサイパンを経由。27日に台湾へ戻り、この大航海を成功裏に終える予定だった。ところが26日午前2時半ごろ、台湾東岸の外海を航行していた太平公主号に、リベリア籍の大型タンカー「チャンピオンエクスプレス号」が接近。

 これに気付いた劉船長は、あわてて無線で呼び掛けたものの数秒後に激突した。太平公主号はまっぷたつに割れ、船員は全員海へ投げ出されてしまった。

 幸い太平公主号は木造船だったため、船員らは海面に浮いている船の残骸に捕まって漂流し、4時間後に無事救助された。頸椎(けいつい)を骨折した最年長メンバーが比較的重症だったが、ほかは軽傷で済んだという。

 既に1万7,000カイリを航行していた太平公主号だが、あとわずか30カイリという成功の一歩手前で撃沈という結果に終わった。4,000万台湾元(約1億1,500万円)が投じられた古代船はバラバラに破壊されてしまったが、全員無事だったことは不幸中の幸いだろう。