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豚インフル、緊急対策本部を設置


ニュース 社会 作成日:2009年4月28日_記事番号:T00015031

豚インフル、緊急対策本部を設置

 
 メキシコで感染が疑われる死者が149人に達したH1N1型豚インフルエンザに対し、世界保健機関(WHO)が世界的大流行(パンデミック)に備えるフェーズ4に警戒レベルを引き上げたことを受け、行政院衛生署は28日、緊急対策本部に当たる「中央流行疫病指揮センター」を発足させた。総指揮官を務める葉金川衛生署長は「最悪の事態の想定が必要」と強調。台湾は水際対策を徹底することが目下の課題だと指摘し、メキシコに渡航しないよう呼び掛けた。マスクは十分な数を確保できており、今後、治療薬タミフルの増産、ワクチン開発に積極的に当たるとして、冷静な対応を求めている。
 
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葉衛生署長は28日、豚インフルエンザ感染の拡大は、熱帯低気圧が1日で台風に発達するかのように速いと表現し、世界各地に強風が吹き荒れているとして、準備を怠らないよう呼び掛けた(28日=中央社)
 
 中央流行疫病指揮センターは28日午前9時から第1回会議を開催し、▽外交部と衛生署による渡航自粛勧告、検疫強化▽医療物資の確保▽国家通信伝播委員会(NCC)によるテレビを通じた住民への情報提供▽特別予算案の提出▽各県市政府で24時間以内に流行疫病指揮センター設置──を決定した。なお、葉衛生署長によると、治療薬は台湾企業3社が1カ月以内に生産可能で、ワクチンは3カ月以内に医療関係者や検疫職員向けの20万本が準備可能になる見通しだ。

法定伝染病に指定
 
 行政院は前日の27日、豚インフルを、感染の疑いがあれば24時間以内の報告と隔離治療を求める第1類法定伝染病に指定している。

 行政院が招集した27日の対策会合で、葉衛生署長が報告した医療物資は、▽医療用N95マスク、301万個▽外科用マスク、1,102万個▽平面マスク、6,767個▽全身を覆う感染防止衣、153万6,000着▽治療薬タミフル、159万本▽治療薬リレンザ、69万本──。治療薬2種は計230万本近く、台湾総人口の10分の1に当たる量が確保できていると説明した。

 国家衛生研究院は、ワクチン製造に速やかに取り掛かるとしても、通常完成までに3カ月はかかると報告した。また、タミフル20万人分は医療従事者および畜産従事者に優先的に充てる方針を示した。

台湾人留学生が感染か
 
 外交部の陳銘政報道官によると、カナダ東部ノバスコティア州のキングス・エッジヒルスクールに通う台湾人留学生3~4人を含む17人に豚インフルを疑われる症状が出て、現在隔離措置を受けていることが駐カナダ代表処により28日確認された。このうち4人は感染が確定しており、その中の1人が最近メキシコに旅行に行っていたという。外交部は駐カナダ代表処職員を現地に派遣して状況把握と留学生のサポートに努めるとしている。

 台湾では28日午前、桃園国際空港に到着した米シアトル在住の台湾人男児(5)が38度を超える熱を出し、豚インフル感染が疑われた。しかし検査の結果、感染は確認されなかった。 

 疾管局によると、19~22日にメキシコに滞在した男性(32)が22日、台湾に到着後、風邪のような症状があると申告して医療機関の検査を受けたが、問題は見つからなかった。

 交通部観光局が現時点で確認している米国、メキシコに旅行中の台湾人は、ツアー13団体で計281人だ。

3カ月以内に上陸も
 
 2003年の新型肺炎(SARS)流行時に衛生署疾病管制局長として対応に当たった国家衛生研究院感染組の蘇益仁特聘研究員は27日、世界各地をつなぐ交通網が発達した現代社会では、遅くとも3~6カ月内にウイルスが台湾に侵入する可能性があるという予測を示した。

企業も予防措置
 
 メキシコ拠点に1万人余りの従業員を擁する鴻海精密工業の丁祈安スポークスマンは27日、同社の従業員に感染疑いなどの報告は現段階で出ていないと語った。同社はSARS流行時と同様、メキシコや米国などから台湾に戻る従業員は1週間隔離し、検査結果が問題なければ職場に復帰させる措置を取るとともに、海外出張は極力控える方針のようだ。

 このほか、メキシコ工場を持つ明基友達集団の電子機器受託生産メーカー、佳世達科技(Qisda)や、アパレルの年興紡織、南緯実業などは、工場が都市部から離れており、今のところ特に問題は出ていないとしている。