華碩電脳(ASUS)が、約10%の人員削減に着手した。従業員約4,500人余りのうち、業績の思わしくない旧光ディスク部門を中心に400~500人が対象となる見通し。4月に行った組織再編によって既にコスト構造に改善がみられたとする同社は、人員スリム化で固定費の圧縮を進める考えだ。4日付工商時報が報じた。
リストラ対象者が多いとみられるのは、旧光ディスク部門と旧モニター部門だ。ASUSはこの観測に対し、両製品は組織再編で部品事業部に組み込んでおり、撤退はないと強調。今後の人事調整については大方固まっており、これから細部を詰めると表明した。
ただ業界関係者は、ASUSは在庫の販売に影響が出るのを防ぐために両部門の生産ラインの閉鎖を認めていないが、事実上、市場から撤退させていく方向と予想している。一方、ノートパソコンなどのコンピューター事業部では、大規模な人員削減を行わないとみられている。
組織改革、市場ニーズ反映に有利
同社は4月、従来の11事業部を、▽コンピューター、責任者・沈振来執行長(CEO)▽携帯電話(スマートフォンなど)、施崇棠董事長▽部品(マザーボードなど)、曽鏘声副董事長──の3事業部に再編した。アナリストはこの組織改革について、これまではエリア別のマーケティング戦略だったため、開発した製品と市場のニーズにずれが生じ、同業他社にリードを許してきたが、今後は各製品の責任者が開発の初期段階から各市場のニーズを反映させることができると評価している。
Q1在庫、最悪期から半減
ASUSの4月30日発表によると、第1四半期の在庫水準は220億台湾元(約660億円)の適正水準に戻り、昨年第4四半期の420億元から約半減した。第1四半期の純利益は4億5,400万元で、創業以来初の単期赤字となった前期から黒字転換を果たした。本業では31億元の赤字だったが、為替差益と投資利益が計14億元に上ったことが、最終黒字を確保できた主因だ。
沈執行長は、第2四半期の受注状況は前期より好調で、本業でも黒字転換を果たすと目標を語った。ただ、第2四半期に発売予定の、インテルの新型省電力CULVプラットフォームを採用した超薄型ノートPCについては、ライバルの宏碁(エイサー)がノートPC市場全体の50%をCULVノートPCが占めると楽観見通しを示しているのとは対照的に、「今年は全体の10%、来年は20%まで拡大する可能性もある」と慎重な見方を示している。
ASUSの第2四半期の各製品の出荷見通しは、▽マザーボード(MB)、450万枚以上(第1四半期実績500万枚)▽ノートPC、90万~110万台(85万台)▽低価格ノートPC(ネットブック)「Eee PC」、100万~120万台(90万台)──。
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