宏碁(エイサー)の王振堂董事長は5日、クリスマスシーズンの今年第4四半期にパソコンの買い替え商機が到来するという予測を語った。米マイクロソフト(MS)の次世代OS(基本ソフト)、「Windows 7(ウインドウズセブン)」リリース候補(RC)版が同日一般公開され、秋にも正式版が発売されるとみられるためだ。王董事長はWindows 7について、使いやすさが重視され、ハードウエアに対する推奨システム要件も高くないため、世界的に景気が低迷する現在のニーズに合致していると評価している。6日付工商時報などが報じた。
王董事長は、Windows 7のRC版が予定通りに発表されたことから、正式発売も早まるとみられると指摘した。リリース予定は2010年初頭とされているが、市場では10月23日になるとの観測も出ている。
企業が高い関心
台湾マイクロソフトの葉怡君協理は、企業のWindows 7に対する関心度の高さから、企業への普及スピードは最新OSの「Windows Vista」に比べて相当速くなると好感している。2006年11月末に発売されたWindows Vistaのビジネスユ
ーザー版の、企業ユーザーの採用率は現在20~25%にとどまる。
Windows 7搭載PCは、持ち運びやすさ、安全性に加え、リモート操作機能や、省電力機能などが企業へのアピールポイントとなりそうだ。
ネットブックに積極採用
Windows 7は、昨年ブレイクした低価格ノートPC(ネットブック)専用の製品エディション「Starter」も準備している。マイクロソフトが今回ネットブック市場への態度を積極化させたことに加え、今年末には多くのPCメーカーがグーグルのモバイルプラットフォーム「アンドロイド」搭載ネットブックの発売を予定していることから、両社のOS搭載ネットブックで市場が活発化しそうだ。
Windows 7搭載ネットブックの発売を予定しているのは、▽エイサー▽華碩電脳(ASUS)▽微星科技(マイクロスター・インターナショナル、MSI)▽ヒューレット・パッカード(HP)▽デル▽聯想集団(レノボ)──、アンドロイド搭載ネットブックは▽ASUS▽MSI──となっている。
グラフィックチップにも恩恵
グラフィックIC大手の米エヌビディアの黄仁勲最高経営責任者(CEO)は、Windows 7がクロスプラットフォーム対応の並列プログラミング標準規格「OpenCL」(Open Computing Language)を採用すれば、これまでゲームなど画像処理専用だったグラフィックチップ(GPU)にも、中央処理装置(CPU)の演算作業を担わせることができ、処理速度が向上すると指摘した。このことから、来年はグラフィックチップの需要が大幅に伸びると予想している。
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