不動産開発最大手の遠雄集団(ファーグローリー)と、中国広東省の同業大手、碧桂園(カントリーガーデン)の提携計画が、合意まで秒読み段階に入ったもようだ。中台不動産業界で初となる合弁会社を折半出資で両地に設置して住宅地などの開発を手掛ける方針。現段階では台湾不動産業者の中国投資、および中国資本による台湾の不動産投資には規制がかけられており、両社の提携計画は規制緩和の進展が鍵となる。7日付工商時報が報じた。
遠雄集団の趙藤雄董事長によると、両社は台湾で「遠雄碧桂園建設公司」、中国で「碧桂園遠雄房地産開発公司」を設立する。共に折半出資で「遠雄碧桂園」は遠雄が、「碧桂園遠雄」は碧桂園が主導する。
趙董事長は、碧桂園は香港株式市場に上場しているため、台湾側が規制を設けている現状では、当面は香港企業として台湾の住宅または高級ホテルに投資を行う見通しだと語った。遠雄も規制緩和が進む以前の段階では、碧桂園との合弁協議はシンガポールの大株主、遠中房地産発展公司を通じて行わざるを得ないという。
台湾デベロッパーに対する中国市場進出規制と、中国資本に対する台湾不動産市場への投資規制では、台湾業者に対する規制の方が先に緩和される可能性が高いため、遠雄と碧桂園の提携による不動産開発は、中国で先に実現する見込みだ。碧桂園は中国7省に4万5,000ヘクタールの住宅・ビジネス向けに開発可能な用地を有しているという。
碧桂園は台湾で少なくとも10ヘクタール以上の用地でデジタル住宅の都市開発を展開したい希望を持っているものの、遠雄の保有する約2,500億台湾元(約7,500億円)の土地在庫には碧桂園の需要に合うような大規模な土地は少ないという。趙董事長は両社提携による不動産開発は、政府の規制緩和を待って推進したいという語りつつ、候補地として台北県を挙げた。
規制緩和推進、国民党が決議
中国資本に対する第1段階の台湾投資開放は、製造業やサービス業、公共建設など98業種・項目を対象に今月中旬から下旬にかけて発表される予定となっているが、国民党中央常務委員会は6日、台湾の不動産・建設業者による中国投資の規制緩和の推進を行政院に働き掛けることを決議した。台湾業者の中国不動産投資を、次期中台公式協議での優先項目としたい考えだ。
同党中央常務委員を務める沈慶京・威京集団総裁によると、現在不動産・建設業者の中国投資は原則禁止されており、個別審査が必要だが、▽1案件当たりの投資額1,000万米ドル以下の投資額規制▽業界の年間投資額を100億元以下とする総量規制▽投資業者の資格規制──の3つの規制に縛られている。このうち資格規制は、業者に対し流動比率100%以上、総資産に対する負債額の割合50%以下を求めている。
中華民国建築開発商業同業公会は先日行政院営建署に対し、1案件当たりの投資額を5,000万米ドルに、総量規制の上限を16億米ドルに、業者の負債額の基準を70~80%にそれぞれ緩和するよう請願を行った。工商時報によると、内政部は規制緩和に前向きだという。
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