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円山飯店のトイレに明代書家の作品?中国鑑定家のとんだ眼力


ニュース 社会 作成日:2009年5月8日_記事番号:T00015214

円山飯店のトイレに明代書家の作品?中国鑑定家のとんだ眼力

 
 台湾の代表的なホテルである台北市の円山大飯店の男性用トイレに、明代の著名画家、王寵の本物の詩書が飾られている──。「海峡両岸中華書画芸術文化交流」のイベントに参加するため来台中の、南京芸術学院美術考古学系の薛翔副教授による驚きの「発見」が中国時報によってスクープされたのは7日のことだった。しかし、たった1日で実は複製品だということが分かり、専門家としての眼力に疑問符がついてしまった。

 故宮博物院は7日午後に記者会見を開き、「本物は当院が保管している。円山大飯店に飾ってあるのは当院が制作した1枚50台湾元(約150円)の複製品だ」と明らかにした。

 スクープが報じられるや、台湾の著名書家である陳宏勉氏が円山大飯店まで赴いて見たところ、「一目で偽物と分かった」という。扇形の紙に書かれた五言詩の書は、本物は複製品よりサイズが2~3割大きい上、トイレで展示できるスペースの都合で最初の7行を切り落としてあった。印章の厚みや光沢も本物と異なるという。

 これだけ大きな違いがあるのに、一体なぜ本物と見間違えたのだろうか。故宮博物院の金士先・文化行銷処処長は「非常に精巧に模倣してあるためだ」と胸を張る。同院が複製品を制作するに当たっては、紙質の選択から文字や絵の色具合など徹底的に本物に似せて作っており、7~8段階の工程を踏むという。

 さて、とんだ眼力を披露してしまった薛副教授だが、台湾メディアに対し「(書の上に掛かっていた)ガラスを外して見たわけではなかったから」と歯切れの悪い言い訳を展開した。聯合報の記者が「学術界での名誉をかけても本物だと言っていたではないか」と突っ込むと、「二つの可能性がある。一つは本物、もう一つは非常に高級な複製品ということだ」と渋々認めた。

 薛副教授は20年以上の書画の鑑定歴があり、中国でのテレビ番組に鑑定の専門家として出演していたこともある。「王寵もわたしも蘇州出身で、特別な感情があるから」とも語ったが説得力は薄く、台湾で「本物」と認められることは厳しくなってしまった。