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作成日:2009年5月12日_記事番号:T00015274
サイクリング族に人気、派出所でのちょっと一服

派出所といえば、一般人にとってはあまり出入りしたくない場所。ところが、ここ数年のサイクリングブームで、これまでの派出所の重苦しいイメージが覆されつつある。
「どうぞ入ってお茶でも飲んでいって!」。警察官がサイクリング族に気さくに呼び掛ける。ここは、派出所の「鉄馬駅站(自転車ステーション)」。サイクリング族が、ツーリング途中にお茶を飲んでひと休みしたり、自転車のタイヤに空気を入れたり、簡単な修理をすることもできるサービスエリア的存在だ。
台湾全土には目下、100カ所近くの「鉄馬駅站」がある。いずれも市民の便宜を図るため、派出所が自発的に設置したもので、今や観光エリアの派出所のほとんどにある。
中でも、台中県の清泉派出所は、付近にサイクリング族が休憩できる場所も少なく、休日ともなれば20人以上が訪れる。
高雄県の大華派出所は、観光名所である澄清湖自転車道の中継地点。派出所前の広場を提供し、警官が自腹を切ってお茶を提供。簡単な医薬品も備えている。
台湾東部の道路沿線で最も美しい「鉄馬駅站」と評されるのは、花蓮県光復郷の大富派出所。個人の別荘を思わせる西洋式庭園があり、遠くには中央山脈を望むことができるとあって、わざわざ訪れるサイクリング族も。
花蓮県鳳林鎮の新社派出所では、なんと警官がパンクしたタイヤの修理もしてくれる。「退職後も仕事の心配はいらない」と笑うほど、修理はプロ並みの腕前だとか。
嘉義県阿里山郷の来吉派出所は、「観光休憩派出所」として知られる。というのは、阿里山の観光スポットの紹介をしてくれるからだ。
台南市の安平派出所は、無料で自転車の貸し出しを行っており、これまでに年間4,000人近くが利用。現在保有する10台では足りないほどの人気だ。
これら「鉄馬駅站」は、自転車の盗難防止や治安維持に役立つほか、市民と警察の交流を促し、両者の距離感を縮める役割も果たしているという。