鴻海精密工業など電子業界大手5社の4月業績が出そろい、前月比で軒並み減収、計12%のマイナス成長となった。アナリストの多くは、年初以降の在庫補充を目的とした緊急受注による成長が終わったと判断。今回の減収が景気回復への道が早くも挫折することを意味するのか、通常受注にシフトしたため例年通り第2四半期のオフシーズンに入ったのかは、5~6月の業績次第との見方だ。12日付経済日報などが報じた。
鴻海精密工業が11日発表した4月売上高は、前月比8.2%減、前年同月比8.2%減の944億700万台湾元(約2,800億円)だった。同社は3月に1,000億元台を回復し、4月は1,100億元まで成長するという予想も出ていたが、再び1,000億元を下回った。鴻海の丁祈安広報担当は、受注の一部が延期された可能性もあると語る一方で、「4月はもともとコンシューマエレクトロニクス製品のオフシーズンであり、今後を心配してはいない」と強調した。
大手5社を形成する他のノートパソコン受託生産、ブランド大手4社の4月売上高は、▽広達電脳(クアンタ・コンピュータ)、551億6,000万元(前月比13%減、前年同月比25%減)▽仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)、427億2,000万元(前月比2%減、前年同月比50.8%増)▽宏碁(エイサー)、295億元(前月比30.4%減、前年同月比4.2%増)▽華碩電脳(ASUS)、154億元(前月比17.1%減、前年同月比27.6%減)──。
「Q3に回復」=TSMC董事長
台湾経済の今後の見通しについて、ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀董事長は、景気の回復を語るのは時期尚早としながらも、第3四半期以降は期待できるとの見方を示した。
米国政府が早くて第3~4四半期、遅くとも来年第1四半期に経済成長率がプラスに転じると公式に表明していることがその根拠で、台湾は米国より半年早くプラス成長になるとみている。
株式市場の上昇傾向については、市場を左右する要因は数多く、景気動向の先行指数とは言い切れないとの考えを示した。一方で、いずれにせよ遅かれ早かれ経済は回復するものだと強調した。
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