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中国資本の台湾投資、開放99項目が確定


ニュース その他分野 作成日:2009年5月13日_記事番号:T00015332

中国資本の台湾投資、開放99項目が確定

 
 尹啓銘経済部長は12日、中国資本に対する台湾投資開放について、「第1段階として製造業、サービス業、公共建設の3分野で99項目を開放する」と表明。「大陸地区人民来台投資許可弁法」など関連法の公告を5月末までに終え、6月からの正式実施を目指すと語った。今後も段階的に開放対象を拡大する方針で、関連産業からは「長期的にみてプラスとなることは間違いない」などと歓迎の声が相次いだ。13日付中国時報などが報じた。
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 12日、行政院経済建設委員会(経建会)が召集した部会(省庁)横断会議で確定した第1段階開放対象は、製造業65項目、サービス業23項目、公共事業11項目となった。製造業には▽漢方薬▽自動車▽プラスチック製品▽テレビ▽コンピューター▽携帯電話──などが含まれ、サービス業には▽観光ホテル▽第2類通信▽百貨店▽コンビニエンスストア▽飲食業──などが含まれる。公共建設は観光・レジャー、空海運関連施設が対象だ。

 また中国資本が第三国・地域を経由して台湾に投資を行う場合、持ち株率が30%を超える場合を「中国資本」と認定することが決まった。ただ30%未満の場合でも、実質的に企業経営に影響を及ぼしている場合は中国資本とみなす。

「台湾に有利な開放」

 開放項目について中国時報は、紡織、アパレル、ゴム製品などの労働集約型産業は台湾は既に競争力を失っており、コンピューター、携帯電話などの分野では世界的ブランドを抱える台湾の優勢は揺るがず、さらに自動車や家電産業にとっては台湾市場が頭打ちとなる中、中台提携によって中国市場での発展の可能性が生まれると評価している。

 ある電子メーカー幹部は、「中国資本が台湾に投資するというだけでなく、今後政府、民間が協力して技術や製品の統一規格制定を進め、両岸(中台)産業の分業による世界市場開拓が最終目標だ」と抱負を語った。

 飲食業界では北京ダックで世界的に有名な全聚徳集団や俏江南などのチェーンが台湾進出に意欲を示しているとされる。しかし台湾の業者は、2度の台湾進出に失敗した鍋料理チェーン「譚魚頭」を例に挙げ、「接客態度などソフト面に問題があり、成功するとは限らない」と大きな懸念は抱いていないもようだ。

第2段階で金融業開放も

 一方、▽ファウンドリー▽液晶ディスプレイ(TFT─LCD)▽第1類通信業▽公共建設の一括請負▽セメント業▽精密機械▽太陽光電▽風力発電▽航空▽食品▽情報サービス▽弁護士業──などは開放対象に含まれず、液晶パネルの中華映管(CPT)など一部業者からは失望の声も上がっている。ただ、台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀董事長は「技術にかかわる投資の開放は慎重を期すべき」と理解を示した。

 尹経済部長は、台湾中油や台湾電力(台電)など独占的地位にある企業への投資や、軍事的性質を持つ中国資本による投資は今後も開放しない方針を示した。また中国公営企業による投資については政治、社会、国家の安全などに影響が及ばない限り「原則同意」とする考えだ。その上で今後、台湾産業や社会への影響を考慮しつつ、金融業や第1類通信業などを含め、第2段階開放の検討を進める方針を示した。

【表】