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「景気底入れはQ3」、就任1年の劉行政院長


ニュース その他分野 作成日:2009年5月14日_記事番号:T00015362

「景気底入れはQ3」、就任1年の劉行政院長

 
  劉兆玄行政院長は13日、台湾経済の現況について、株式市場は上昇したものの依然厳しい状況が続いており、底入れは第3四半期になるという認識を示した。就任2年目に当たっては、消費が一定程度回復していることから財政拡大政策の軌道修正を図り、観光や医療介護など六大新興産業の推進を重要課題として挙げた。
 
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経済指標の下げ止まりで支持率も回復してきた劉行政院長。「閣僚が業績を挙げるには一定の時間が必要」という考えも語った(13日=中央社)
   
 劉行政院長の発言は昨年5月の就任から1年を迎えるに当たって、経済日報や工商時報など台湾各メディアのインタビューに対し行われたもの。輸出など各経済指標で下落幅は落ち着きを見せてきているものの、下落傾向には依然変化がないと指摘した。一方で、景気底入れの時期は第3四半期となり、来年の経済成長率はプラスに転じるという見方を示した。

 最近の株式市場の上昇については、「大陸(中国)資本による台湾投資の情報を材料にしており、投資そのものではない」とくぎを刺した。 
 
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消費券、再発行せず
 
 株式市場の上昇に伴って消費の好転がみられることについて劉行政院長は「環境が変化した」と述べ、過去1年間実施してきた財政拡張政策を軌道修正する考えを示した。

 消費券は再度の発行は行わない方針だ。理由について「消費券は多くのレストランや商店、通りが夜8時になると人通りが消えてガラガラになっているのを見て発行を決めた。しかし今や人出が戻っている」と説明した。
 
 財政拡張政策を見直す理由としては、財務の健全性確保を挙げた。工商時報によると、馬英九政権発足以来、石油製品の貨物税(物品税)減税、基幹食糧物資の営業税減税、遺産税(相続税)税率の引き下げ、小型車に対する貨物税減免など各種減税措置によって900億台湾元(約2,600億円)の税収減を招いたという。

 ただ、公共工事の拡大政策は変更しない考えだ。劉行政院長は「台湾の状況は日本と異なる。日本は公共工事を推進したところで効果は知れているが、台湾で危険な橋50本を一挙に修復すればどれだけ国家のためになることか」と述べ、引き続き重視する姿勢を示した。今年は昨年の4,000億元に続き約6,000億円を執行する予定で、執行率を厳しく監督していく構えだ。

「静かな産業革命」でライフスタイル転換 
 
 馬政権2年目に推進する重要政策としては、▽観光▽医療介護▽バイオテクノロジー▽クリーンエネルギー▽文化創意▽精密農業──の六大新興産業を挙げた。

 劉行政院長は、「ICT(情報通信技術)産業に依存し過ぎてきた台湾は、産業の枠組みを調整する必要がある」と語りつつ、クリーンエネルギーとICTは密接な関係があり、医療介護と農業は観光の発展に役割を果たせるなど、六大新興産業計画は相互に関連性を持つ戦略思考の下で練られていると指摘した。その上で「六大新興産業の推進によって産業の枠組みのみならず、ライフスタイルも変えられる。『静かな産業革命』なのだ」と意義を強調した。
 
【表】