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ホームレス容疑者に居住制限、住所は「台中市光復路の歩道上」


ニュース 社会 作成日:2009年5月20日_記事番号:T00015455

ホームレス容疑者に居住制限、住所は「台中市光復路の歩道上」

 
 このほど、裁判所から詐欺事件に関与したホームレスの容疑者に対し、「歩道」に住むことを指定する驚くような命令が下された。住所を「歩道」とする居住制限は、台湾司法史上で初のケースだ。

 高雄県で商売をしていた呉清源容疑者(51)は、十数年前に家族や親せきとの不和から台中に流れ着き、ホームレスに。7~8年前から台中市光復路40号の貸し出し物件の軒下に寝泊まりしており、臨時の日雇い仕事で食べているという。

 呉容疑者は2006年、眠る場所と食事、週800台湾元(約2,300円)の小遣いを提供してもらう代償として、詐欺グループに身分証を提供し、「樺源鑫実業」(台北市)および「聖源興企業」(台中市)というペーパーカンパニー2社の代表として名義を貸した。

 ところがこの2社は、「漢格林」など20社の企業に対して3億6,349万元の偽の領収書を提供し、1,757万元の脱税に手を貸した。さらには1億7,200万元の不渡り小切手も。

 台北地方法院検察署は18日、呉容疑者を逮捕し、背後の詐欺グループと口裏を合わせる恐れがあるとして、裁判所に拘禁を申し立てた。

 ところが、台北地方法院(地方裁判所)の張文俊裁判官は、呉容疑者が「管轄の派出所の警官なら自分を見つけ出せる。召喚されれば必ず出廷する」と泣きつくのを聞き、拘禁の必要はないと判断。地検側の申し立てを却下し、召喚状は台中市警察局「継中派出所」(実際には存在しないことが後に判明)へ送付し、警官が呉容疑者に手渡すこととした。呉容疑者には、毎週火曜日の派出所への出頭、および「台中市光復路40号の歩道上」での居住制限を命じた。

 この判決に地検側は猛反発。「『歩道』は歩行者が通行するための『公共の場所』であり、住居する場所ではない。裁判官が居住制限で歩道を住所に指定するのはおかしい」として19日に上訴した。

 なお、呉容疑者が軒先を借りている貸し出し物件の家主は、ホームレスが寝泊まりするので借り手がつかず、困っているそうだ。