新型インフルエンザH1N1型の感染例が台湾で初めて確認された。対策本部に当たる中央流行疫病指揮センターの施文儀報道官(行政院衛生署疾病管制局副局長)は20日午前、18日にキャセイパシフィック航空CX468便で香港から入境した52歳のオーストラリア国籍の男性の感染を確認したと発表。この男性は台湾滞在が20年に上る医師で、現在は台東に居住しているという。台湾にはアジアで新型インフル感染者が確認された国・地域として7番目となった。
新型インフルの発生を発表する施文儀報道官。日本の関西地方のような大幅な拡大が起きないか、今後数日間の動向が注目される(20日=中央社)
中央社などの報道によると、男性は今月17日にニューヨーク発香港行きのCX831便に搭乗。翌18日のCX468便で午後9時半に桃園国際空港に到着した。その時点で38度3分の熱があったため、衛生署立桃園医院で計2回の検査を行ったところ、20日未明に新型インフルへの感染が確認された。
CX468便で男性は62H座席に座っていた。衛生署は、前後3列にいた乗客は隔離措置を受けることが望ましいという判断で、早急に衛生署に連絡するよう呼び掛けている。
桃園医院は男性を隔離して治療に当たっている。台湾に戻った際は熱や鼻水などの症状があったが、20日午前の段階で平熱に戻ったとしている。
葉衛生署長、安心を呼び掛け
中央流行疫病指揮センターは20日午後、これまで最低の1級緑色だった新型インフルの警戒レベルを1段階引き上げ、2級黄色とした。
世界保健機関(WHO)の年次総会(WHA)に出席するためジュネーブに滞在中の葉金川行政院衛生署長は新型インフルエンザの感染例の発生について「遅かれ早かれ起きることだった。新型肺炎SARSと異なり、H1N1型は感染率こそ高いものの深刻な状態になる確率は低く、市民は心配する必要はない」と発言した。
なお、葉衛生署長は当初21日夜を予定していた帰台を半日早め、新型インフル発生を受けての陣頭指揮に当たることを検討している。
株式市場、反応薄く
20日の株式市場は、新型インフル発生の報を受けて一時52ポイント急落したものの、ゲームなどの巣ごもり消費関連銘柄や金融銘柄に買いが入り、結局加権指数の終値は前日比48.03ポイント(0.72%)高の6,703.62ポイントで引けた。株式市場の反応は薄かったといえる。