北京、上海など都市部における家電の買い替え需要喚起を狙った中国政府による新たなプロジェクト「家電進城」に対し、明基友達集団の李焜耀董事長は24日、「『進城』は農村部での『家電下郷』よりさらに大きな恩恵が望める」との認識を示した。パネル業界からも「同プロジェクトは産業の景気回復に向けた重要なスタートとなる」と重視する声が上がっている。25日付経済日報が報じた。
「家電進城」プロジェクトは、北京、上海、天津、福州、長沙の各市と江蘇、浙江、山東、広東の各省において、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、パソコンの買い替えに際し、古い家電をリサイクルに回すことを条件に、購入価格の10%に相当する補助金を支給するというもの。
高価格・大型製品の需要増える
李董事長は「『下郷』は入門機のテレビ需要が高かったが、『進城』では大型で高性能な製品の需要増が期待でき、より大きな恩恵が望める」との認識を示した。さらに補助対象となる省市は中国でも最も消費力の強い地域であるため、「電子業界に新たな需要の波をもたらす」との期待感を示した。
明基友達集団傘下では、▽友達光電(AUO)▽瑞鼎科技(レイディウム・セミコンダクター)▽達信科技(ダクソン・テクノロジー)▽達方電子(ダルフォン)▽達虹科技(CANDO)▽威力盟電子(ウェリーパワー)──などといったパネル関連メーカーが恩恵を受けるとみられるほか、自社ブランド「BenQ」も、中国では江蘇省を拠点として沿海地域の富裕層をターゲットにコンピューターやテレビを販売しており、効果が期待される。
パネルメーカー黒字転換の鍵
昨年下半期より、世界的な不景気の影響でが需要が急激に冷え込んだ台湾パネル業界では、「家電下郷」による中国からの受注が、一定の生産ライン稼働率の維持に最も貢献した。このためAUOでは今年、中国向けテレビ用パネルの出荷が昨年の2、3倍に達する見通しだ。
パネル業者によると、「下郷」では補助金に上限が設けられているため、需要が増えたのは低価格・小型製品が中心で、在庫消化に一定の効果はあったものの、利益を生むまでには至っていないという。しかし、「進城」では高価格・大型機種が対象となるとみられ、パネルの出荷面積もより大規模になると予想される。
最近パネル価格は上昇を続けており、現在生産コストを上回るかどうかの重要な時期に差し掛かっている。しかし、5~6月は液晶製品のオフシーズンに当たり、川下メーカーの間で値上げに対する抵抗が強まっている。このため「家電進城」実施が中国市場での需要を喚起するかどうかが、パネルメーカーの黒字転換にとって鍵となりそうだ。
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