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半導体大手、強気見通し相次ぐ


ニュース 電子 作成日:2009年6月11日_記事番号:T00015912

半導体大手、強気見通し相次ぐ

 
 上場・公開企業228社の株主総会が一斉に開かれた10日、矽品精密工業(SPIL)の林文伯董事長と台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀董事長という、半導体業界において景気見通しの確かさで定評のある2人から下半期への楽観的な見通しが相次いで示された。特にSPILの林董事長は、中国からの受注が今後巨大な規模になる可能性を指摘した。11日付工商時報などが報じた。
 
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 林董事長はSPILの業績について、「6月は既に受注が満杯で、下半期は段階的に業績が上向く。今年は第4四半期に売上高が最高となる」という見通しを述べた。
 
 最近、液晶パネルや発光ダイオード(LED)など中国から調達団の訪台が相次いでいるが、林董事長は「両岸(中台)関係の改善が台湾企業に大きなチャンスをもたらしている」と語った。そして、これに伴う資金流入で、台湾株式市場の加権指数は遅かれ早かれ1万ポイントに到達するという見方を示した。
 
 台湾半導体業界が恩恵を受けている実例としては、中国が欧米から携帯電話の調達を受ける一方で、携帯用チップは台湾から調達していることを挙げた。そして、中国が欧米からの電子製品の調達増に伴って台湾に発注を集中させた場合、「台湾は受注であふれる」という予測を語った。
 
 なお、同社は景気回復に応じて、新たな設備購入と、100人規模の従業員の新規採用を行う計画だ。
 
「既に回復循環に」
 
 TSMCの張董事長は「半導体産業の景気は既に回復への循環に入った」と断言。業績の回復に強い自信を示した。
 
 張董事長は半導体市場は2012年に08年の水準を回復するという認識を依然持っているとした上で、「半導体景気は世界経済に先立って回復する。既に最悪の状況は脱しているが、落ち込みが急激だった一方で、回復はゆっくりとしたL字型回復になる」と発言した。
 
 同社がこの日発表した5月の連結売上高は、前月比12.5%増、前年同月比15.28%減の252億4,700万台湾元(約757億円)となった。6月も増収が続けば第2四半期通期では710億~740億元となり、業績説明会で示していた目標の高めのラインに到達する。既に12インチウエハー工場はフル稼働で、8インチ工場も稼働率が上昇しており、第3四半期は前期比で小幅成長が見込まれている。
 
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川上は楽観、川下は慎重
 
 同日株主総会を行ったこの他の半導企業からも、「業績は四半期ごとに向上する」(メディアテック)、「8インチ工場はフル稼働で、6月の稼働率は9割が見込める」(UMC)など、楽観的な見通しが相次いだ。
 
 電子業界全体では、パネルの瀚宇彩晶(ハンスター)や勝華科技(ウィンテック)が強気見通しを示した一方、台達電子工業(デルタ・エレクトロニクス)、鴻準精密工業(フォックスコン・テクノロジー)、正イ精密工業(フォックスリンク、イは山の下に威)からは「景気動向はまだ明確でない」「今年と来年は好転するかどうかはわからない」など慎重な見方が出た。現状では一般的に川上メーカーが楽観的で、川下メーカーが慎重なスタンスなようだ。
 
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