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繁体・簡体字併用、波紋広がる馬総統の漢字統一案


ニュース 社会 作成日:2009年6月12日_記事番号:T00015914

繁体・簡体字併用、波紋広がる馬総統の漢字統一案

 
 馬英九総統が9日、華僑訪問団と会見した際に提案した、漢字の統一化に関する発言「識正書簡(正体字=繁体字を知り、簡体字で書く)」の波紋が広がっている。

 馬総統は、「正体字は中華文化の特色を象徴するものだ」との認識を示したうえで、将来的には「識正書簡」という方向で、中台双方がコンセンサスに達することを望むと発言。これが大きな物議を醸している。

 現在、台湾では正体字が、中国では簡体字がそれぞれ使用されているのは周知の通り。正体字を知った上で、書く場合は簡体字でもよく、印刷物はできるだけ正体字を使うとする「識正書簡」は、現状を考慮した折衝案ともいえる。

 これに対して、野党・民進党が11日に実施した電話による世論調査(対象708人)では、「識正書簡」を「支持する」は17.1%、「反対」は75.6%という結果が出た。与党(泛藍)支持者でも67%が簡体字の使用に反対だった。また、約半数に上る51.2%が「識正書簡」は「中台統一の準備」と見ており、「馬総統は中台統一を進めている」という回答者は64.9%に上った。

 馬総統は、正体字の世界遺産登録も提唱していることから、「識正書簡」によって、中国に正体字を復活させるよう呼び掛けるのが主旨だった、という解釈もある。また、「識正書簡」と格式張らなくても、「正式な場合には正体字を、プライベートや非公式な場合には略字を使用する」というのは、古来から中国人の伝統的な漢字の使用方法でもある。

 しかし、台湾で簡体字の使用を提唱することは、まだまだ反発が大きいのが現実のようだ。

 ちなみに、イスラエルの漢学者、ヘブライ大学のユーリ・ピネス教授は、「文学、歴史、哲学などの分野の書籍は正体字、理工分野などは簡体字」と、合理的に使い分けることを提案している。