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鴻海集団、LED最上流に参入


ニュース 電子 作成日:2009年6月15日_記事番号:T00015970

鴻海集団、LED最上流に参入

 
 世界の発光ダイオード(LED)市場での商機を狙い、EMS(電子機器受託生産サービス)最大手の鴻海精密工業が、LED産業で最も川上に位置するサファイアインゴット生産分野への進出を決めた。同グループは先ごろ、傘下企業を通じて同分野大手の鑫晶鑽科技へ出資しており、既に投資を行っているLEDパッケージング(封止)やLED街灯に続き、LED事業の展開をまた一歩前進させたといえる。15日付工商時報が報じた。

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サファイアインゴットに無限の商機

 鑫晶鑽は奇美電子(CMO)が筆頭株主で、鴻海の出資以前の資本金は約3億台湾元(約9億円)だった。鴻海は約20%を出資し、これにより奇美電の持ち株比率は34%から若干低下したという。工商時報は、鑫晶鑽が鴻海と奇美電の大手2グループを同時に大口株主として抱えたことから、「サファイアインゴット分野が無限の商機を秘めていることが分かる」と指摘した。

 鑫晶鑽はサファイアインゴットを川下の兆晶科技(テラクスタル・テクノロジー)に出荷し、同社がこれをスライスしてサファイア基板を製造する。青色LED用エピタキシャルウエハーの重要な材料となる同社のサファイア基板は、▽璨円光電(フォルモサ・エピタキシー)▽新世紀光電(ジェネシス・フォトニクス)▽泰谷光電科技(テクコア)▽奇力光電科技(チーメイ・ライティング・テクノロジー)▽華上光電(アリマ・オプトエレクトロニクス)──など台湾LEDエピウエハーメーカーや、▽三安光電 ▽藍宝▽大連路明発光──など中国大手メーカーの認証を受けている。

 来年第1四半期にはLEDエピウエハーメーカーの大幅な生産能力拡充が予想され、サファイア基盤の供給不足が懸念されている。これを受けて鑫晶鑽では鋳造炉の数を現在の40台から60台に拡充する計画だ。

大手グループが相次ぎ参入

 工商時報によると、LED産業は既に実質的な商業化時代へ突入しており、馬英九政権が重点発展産業に指定しているほか、中国も全国の都市にLED街灯140万基余りを設置するプロジェクトを進めており、その商機は100億元規模とされる。さらにノートパソコンやテレビのバックライトとしての採用率も大きく高まっており、大手グループの進出意欲を引いている。

 LED業界では、鴻海、奇美電ともにLEDテレビでの商機獲得を狙っているとみており、さらに鴻海はLED照明分野も視野に入れているという。ほかにも台湾積体電路製造(TSMC)、華新集団、台聚集団(USI)もLED事業へ参入している。

 拓ボク産業研究所(ボクはつちへんに僕のつくり、TRI)では、来年LED産業の世界全体の生産額は80億米ドルに達し、その後年に13~20%の成長を続け、2012年には108億米ドルに達すると予測している。

【表】