自動車大手、裕隆集団の厳凱泰執行長(CEO)は16日、傘下の自社ブランドメーカー、納智捷汽車(LUXGEN)の中国杭州投資計画は推進中だと表明し、投資を見合わせたとする同日付経済日報の報道を完全否定した。厳執行長は、中台で年産100万台の目標に向け「LUXGEN」に全力投球しており、2010年10月までに中台を共同市場とする初の自社ブランド車を誕生させる方針だ。17日付工商時報が報じた。
裕隆集団は納智捷汽車の株式50%を保有して実質的な経営権を握りつつ、納智捷に対する中国政府の認可の年内取得を目指すため、中国・東風汽車集団の傘下に入れる考えだ。
厳執行長は詳細を明らかにしなかったが、東風集団は、納智捷汽車に折半出資する浙江中誉(控股)集団から、傘下の東風杭州汽車を通じて納智捷の株式20%分を取得する。これにより、年産台数200万台の中国3大自動車グループ入りを果たす見通しだ。
ECFAは「多長多短」
裕隆集団の杭州投資について杭州市長らの承認を得て15日に帰台したばかりの厳執行長は16日、杭州工場見合わせを報じた同日付経済日報を「完全な誤報だ」と強調した。
経済日報は見合わせの理由について、中台の両岸経済協力枠組み協議(ECFA)が締結されれば、自動車のゼロ関税が来年にも実現すると見込まれるためと報じた。厳執行長は、ECFA締結によるいかなる分野の開放も企業にチャンスをもたらすが、個人的にはメリットもデメリットも多いと考えていると語り、一長一短ならぬ「多長多短」だとの見方を示した。
なお、きょう17日付経済日報は、厳執行長も出席した裕隆集団傘下、中華汽車工業の株主総会を報じたが、杭州投資に関する話題については一切触れていない。
年産24万台が目標
初の「LUXGEN」ブランド車は、排気量2,000ccのSUV(スポーツ多目的車)が予定され、発売当初は2万~3万台の販売を見込む。その後、同2,000ccの7人乗りMPV(多目的車)、大型・中小型セダン、電動自動車などの投入を計画しており、中長期的には年産24万台を目指す。
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