廖了以内政部長は23日深夜、地方行政区画の変更に向けた改制審査小委員会が台北県、台中県・市、高雄県・市の直轄市昇格に同意したと発表した。法律の定めにより、昇格対象となる自治体では年末に予定されていた首長選挙は実施されず、任期が昇格時期の来年まで延期される。今回の直轄市昇格は地方首長選での民進党の巻き返しを阻む狙いがあるとみられ、政治的背景をめぐり論議を呼びそうだ。24日付中国時報が報じた。
23日夜、直轄市昇格審査の結果を発表する廖了以内政部長(中央)。彰化県、桃園県、雲林県、嘉義県の昇格は見送りが決定した(23日=中央社)
決定によると、台北県は単独で直轄市に昇格。台中県・市は合併して直轄市に昇格。高雄県は既に直轄市の高雄市に吸収される形で直轄市昇格を果たす。台南県・市の合併については賛否両論が出て、行政院に決定が委ねられた。
廖内政部長は「国民党、政府の幹部による介入は絶対にない」としたが、国民党が年末の地方首長選で苦戦が見込まれる台北県で選挙を先送りするため、直轄市昇格を急いだとの憶測は消えない。
今回の決定で、民進党の蘇貞昌前台北県長(元行政院長)による台北県長選への返り咲き出馬は事実上不可能となった。
中国時報によると、民進党の陳菊高雄市長は「これは明らかな陰謀だ。台中と高雄の昇格は画期的だが、台北県の昇格は強引で、蘇貞昌封じが目的だ」と露骨に不快感を示した。