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ユビナガコウモリが半減、車の旋風が原因


ニュース 社会 作成日:2009年6月26日_記事番号:T00016222

ユビナガコウモリが半減、車の旋風が原因

 
 台北県瑞芳鎮海浜里には、東アジア最大のユビナガコウモリの生息地がある。毎年5、6月には、高雄などからやってきたユビナガコウモリがこの洞窟(どうくつ)で繁殖。7、8月の夕刻になれば、一群の親子コウモリが餌を探しに洞窟から飛び出し、空一面を覆う様子が見られる。彼らは9月になると瑞芳を去り、また高雄へ帰っていくのだ。

 ところがこの繁殖洞のユビナガコウモリが、絶滅の危機にさらされているという。生息数は70万匹からここ3年で半数以下の30万匹にまで減ってしまった。

 その原因は、この洞窟が交通量の多い北部海岸沿いの省道、台2線沿いに位置することにある。省道を通る車によって強い旋風が巻き起こるため、まだ十分に発育していない子コウモリが風を受けて落下し、車輪の下敷きになって死亡するのだ。車にひかれたコウモリの死体は、至る所で見られる。

 この洞窟の前が畑になっていることも、無関係ではない。ここは私有地で、背の高いウリ棚が設置されており、コウモリの飛行が妨げられているのだ。また、農薬の散布も影響を及ぼしている。

 コウモリの保護団体、台湾蝙蝠学会によると、1匹のユビナガコウモリが1晩に食べる害虫は数百~1,000匹にも上る。ユビナガコウモリの激減によって、食物連鎖が壊れ、天敵がいなくなった害虫が農作物や森林を荒らすことも問題だ。

 台湾蝙蝠学会の呼び掛けにより、台北県政府農業局はやっとユビナガコウモリ保護に乗り出した。実地調査を行った結果、まずはドライバーに減速を呼び掛ける看板を立てることに。同時に、スピード違反用の隠しカメラを設置することで、車のスピードを落とし、旋風を抑える考えだ。

 これらの措置がユビナガコウモリの激減に歯止めとなるとよいのだが。